イーサリアム(ETH)は分散型プラットフォームであり、そこで使われる仮想通貨がEtherです。

便宜上イーサリアムと呼ばれていますが、ビットコインに次ぐ有名な仮想通貨として、世界中で取引されています。

スマートコントラクトを備えているという特徴があり開発者や投資家から人気が高いのですが、その仕組みまで詳しく知っている人は多くありません。

そこで今回は、イーサリアムの誕生から現在まで深掘りして解説します。

イーサリアムの概要

特徴 イーサリアムは、スマートコントラクト機能を備えた分散型アプリケーションプラットフォームです。 創業者であるVitalik Buterinによって2013年に考案され、2015年に全世界で公開されました。 ビットコインの次に大きいイーサリアムですが、ビットコインが価値の保存や決済システムを目指している事に対して、 イーサリアムはあらゆるアプリケーションのプラットフォームになる事を目指しています。 イーサリアム上の取引で使われる通貨をEther(イーサ)といい、イーサリアムを利用する際にかかる手数料をGas(ガス)と呼びます。
時価総額 約17,055億円 発行上限 上限なし
承認方式 Proof of Work 上場時期 2015年08月06日
中央機関 なし 提唱者 ヴィタリック・ブリテン
オフィシャルサイト https://www.ethereum.org/
ホワイトペーパー https://github.com/ethereum/wiki/wiki/%5BJapanese%5D-White-Paper

イーサリアムの誕生

イーサリアムは2013年11月に当時19歳の大学生であったヴィタリック・ブリテンによりホワイトペーパーが公開されました。そこには、非中央集権の分散型アプリケーション(Dapps)を構築するためのプラットフォームの作成が目的であると記されており、スマートコントラクトについても書かれています。

https://hedge.guide/cryptocurrency/ethereum/about/history

https://coincheck.com/ja/article/214

冒頭に記載しましたが、イーサリアムは仮想通貨ではなく、分散型プラットフォームの名称です。ブロックチェーンに、「スマートコントラクト」と呼ばれる機能を組み込んだプラットフォームで、ブロックの中にアプリケーションを導入することを可能にしました。

これによって、特定の条件でアプリケーションが稼働する自動化のシステムを導入。今までのブロックチェーンの常識を覆すような存在となりました。

イーサリアム分裂のきっかけである「The DAO事件」

高い可能性を秘めている仮想通貨プロジェクトであることから、イーサリアムはICOから人気を集めていきました。その一方でハッカー集団に狙われる危機もありました。それが、2016年の6月に発生した「The DAO事件」です。

当時、イーサリアムのスマートコントラクトを利用した投資ファンドプロジェクトである「The DAO」と呼ばれるスタートアップ企業によって運営が進んでいました。

しかし、TheDAOの脆弱性が表面化して、ハッキングの被害にあいます。その結果、360万ETH(当時の金額で言えば約50億円)が盗まれることになりました。

仮想通貨業界の中でも大きな事件のひとつで、この事件の対処について様々な議論が行われました。

結論としてブロックチェーンの記録を巻き戻し、事件発生直前の状態に戻す事が決定され、事実上この事件以降の取引はすべてなかったことになりました。

この処置によってイーサリアムのコミュニティーで様々な議論が行われましたが、管理者がイーサリアムの取引に干渉をした事実が残ってしまいました。

基本的にユーザーの取引に管理者が干渉する事は、非中央集権のブロックチェーンのシステムの根幹が崩壊することにもなります。

そのため、コミュニティー内で対立が起こってしまい、イーサリアムの分裂を引き起こすことになりました。この分裂によってハードフォークが起こってしまい、イーサリアムクラシックが誕生しました。

スマートコントラクトとは

スマートコントラクトはイーサリアムのなかでも核となる部分です。

ブロックチェーンはブロックの中に取引情報を書き込んで、チェーンにして保管する仕組みです。透明性が高く、「誰がいつ誰に送金したのか」が分かりやすくなっています。イーサリアムはそのブロックに対してプログラムを書き込むことで、「自動的な機能」を加えることができます。

今まで仲介作業が必要だった仕組みも、スマートコントラクトを活用すれば、その必要はなくなります。

わかりやすい例で言えば、自動販売機がその機能です。店舗で飲み物を販売する場合は、レジ打ちやバーコードの読み取りなどが必要になります。しかし、自動販売機はそういった作業が一切なく、飲み物を購入・販売できます。これがスマートコントラクトの機能です。

イーサリアムのメリット

イーサリアムのメリットは大きく分けて以下の3つになります。

  • ・短期間で送金ができること
  • ・発行上限や半減期が存在しないこと
  • ・信頼性が高いこと

これらを順番に説明していきます

短期間で送金ができること

イーサリアムのビットコインの問題点を改善するために開発された仮想通貨です。もともとビットコインは送金に時間がかかってしまう問題点がありました。

トランザクションを検証、承認してブロックチェーンに接続。この過程をマイニングと呼びますが、マイニングには時間が必要です。

ビットコインはマイニングに約10分かかり、10分ごとにブロックが生成される仕組みです。イーサリアムはこの時間を15秒に定めており、ブロック生成などの時間もビットコインと比較するとかなり短くなっています。

このため、送金の処理なども短期間で終わらせることが可能です。

発行上限や半減期が存在しないこと

多くの仮想通貨には、発行上限と半減期があります。発行上限を定めることで、仮想通貨の総発行枚数が決まり、仮想通貨市場に一定量以上の仮想通貨が流入することを制御します。

あまりにも大量の仮想通貨が市場に流入してしまうと、マイニングその仮想通貨の価値は大きく下がってしまいます。

また、ビットコインなどの仮想通貨では「半減期」と呼ばれる一定のブロックがマイニングされると、マイニング報酬が半分になる仕組みがあります。これにより、段階的に市場に流通する仮想通貨の数を減らすことで、仮想通貨の価値を維持する狙いがあります。

この両方をイーサリアムでは設定していません。あくまで分散型のプラットフォームとしての活用がメインであるため、仮想通貨としての価値に重きを置いていないことが理由とされています。

信頼性が高いこと

イーサリアム以外の仮想通貨でも基盤となるのは「ブロックチェーン」です。ブロックチェーンは分散型管理を特徴とするシステムであり、中央管理者が存在しません。

ブロックチェーンのデータは膨大な数のマシンで分散管理されているため、事実上データを改ざんするのは不可能に近く、膨大なコストと手間がかかってしまうため、ハッキングを試みるヒトも皆無となっています。

そういった強固なシステムで管理しているため、仮想通貨に関してかなり安全性の高いシステムと言えます。

イーサリアムのデメリット

一方でデメリットも存在します。この問題の解決を行わなければ、いずれイーサリアムの機能性が徐々に低下していくことになります。

スケーラビリティ問題に遭遇することもある

イーサリアムは1つのブロックの生成にかかる時間が15秒ととても短いため、素早い時間での処理が可能となります。ビットコインよりも早い処理ができるというのがメリットではありますが、同時にデメリットにもなり得るのです。

なぜかというと、仮想通貨は流通量が増えれば増えるほど承認しなければいけない数も増大し、処理に膨大な時間がかかってしまいます。イーサリアムは特にスマートコントラクト機能によって、取引情報の情報量が増えてしまうので、取引にかかる時間が遅くなってしまいます。これをスケーラビリティー問題と呼びますが、この問題が深刻化するとマイニングにかかる時間が増加します。

マイニングが完了するスピードよりも取引が溜まる速度が早くなってしまい、処理が追いつかなくなることが起こりうるのです。

誤情報のデータを記録してしまった場合、修正できない

また、イーサリアムのブロックチェーンはデータ改ざんなどの不正が起こりにくくなっています。同時に問題が発生した情報をブロックチェーンに記録してしまうと、それを修正することも難しいデメリットがあります。

まさに「The DAO事件」はこのデメリットが浮き彫りになった事例と言えるでしょう。

データの修正などが難しいことからハードフォークで流出が起きる前の状態に戻す処置が取られました。こういった事件が起こる可能性がこれから先もあると言えるので、決して安全とは言い切れない状態です。

しかし、今日まで続いてきた歴史があるので、信用できる仮想通貨ではあります。

ハードフォーク

イーサリアムは、段階的にアップデート(イーサリアムの場合、ハードフォークを行う)を行いながら最終形態を目指しているプロジェクトです。このハードフォークは、EIP(イーサリアム改善案)に基づいて行われることが決まっています。

ハードフォークは4段階に分かれており、「フロンティア」、「ホームステッド」、「メトロポリス」、「セレニティ」と開発フェーズの呼び名が付けられています。ただし、2019年12月頃、セレニティの前に「ミュアー・グレイシャー」と名付けられたハードフォークが行われることが決定されました。

メトロポリスでは、さらに「ビサンティウム」、「コンスタンティノープル」、「イスタンブール」の3段階に分けられました。このコンスタンティノープルでは、マイニング報酬が5ETHから2ETHにまで減額されました。

セレニティでは、承認方法がPoWから、Posへと変更されます。

2015年7月30日:フロンティア
2016年3月14日:ホームステッド ブロック数: 115万
2017年10月16日:ビザンチウム
2019年3月1日:コンスタンティノープル
2019年12月9日:イスタンブール  ブロック数:906万9000
2020年1月6日頃:
ミューア・グレイシャー ブロック数:920万

また、新しく「ミュアー・グレイシャー」というハードフォークを2020年の1月に予定しています。

まとめ

イーサリアムは仮想通貨のなかでも有名で、ビットコインの問題点を解決するためにつくられた重要な存在です。

プラットフォームとしても注目が集まっており、スマートコントラクト機能が実装されたことでブロックチェーンがまた新しく生まれ変わりました。

徐々にスマートコントラクトを活用したアプリケーションなども開発されているため、これからもイーサリアムのブロックチェーンの実用化の流れが加速するかもしれません。