ビットコインキャッシュ(BCH)は、ビットコイン(BTC)の弱点を補うために誕生したオンライン上での送金・決済・価値の保管を目的とした仮想通貨です。ビットコインの持つ様々な問題を解決し、ビットコインを超える便利な仮想通貨として世界中に浸透していくことを目指しています。

しかし「ビットコインと何が違うの?」と疑問を持つ方も多くいることでしょう。そこで今回は、ビットコインキャッシュ誕生の理由やアップデートなどに関して解説していきます。

ビットコインキャッシュの概要

時価総額 約4400億円 発行上限 21,000,000
承認方式 Proof of Work 上場時期 2017年8月1日
中央機関 なし 提唱者 viaBTC
オフィシャルサイトURL https://www.bitcoincash.org/
ホワイトペーパーURL なし

※時価総額は2020年1月6日時点

 ビットコインキャッシュ誕生の理由

2017年8月1日ビットコインキャッシュは、ビットコインからハードフォークし誕生しました。当時のビットコインには「取引容量が小さい」という問題があり、それらを解決するために、取引履歴を圧縮してデータを小さくするSegwitか、ブロックそのものを大きくするビッグブロックのふたつがあります。

ビットコインにはSegwitが採用されましたが、ビッグブロックの方が良いと信じるマイナーが一定数いたために、ブロックチェーンがフォーク(分裂)し、ビットコインキャッシュの誕生に至りました。

なお、この時のハッシュパワー(マイニング能力)がビットコインの約10%であったために、当時のビットコインの10%程度である3万円ほどの価格が付きました。

さらに詳しく

仮想通貨にはブロックチェーンと言われる「誰が、いつ、どこに送金したか」を記録する機能があります。この機能は、取引の量が増えると負荷が増えて取引速度が下がるデメリットがあるのです。
 
そこでビットコインキャッシュでは、その問題を解決するための対策が組み込まれました。ビットコインの1MBの容量を上回る、8MBという容量(ブロックサイズ)に拡大することで、※取引速度の低下や手数料が高くなる現象を解決することを目指しました。
※スケーラリビティー問題と言う。

容量を改善すると、取引の速度の低下などのビットコインにあった問題を軽減。ビットコインキャッシュは従来のビットコインよりも、使いやすい仮想通貨となりました。

ビットコインキャッシュとロジャー・バー

ビットコインキャッシュはロジャー・バーという著名な仮想通貨投資家に支持されています。同氏は、仮想通貨関連の様々な会社に投資している、仮想通貨に関する投資家の中では非常に有名な人物の一人です。仮想通貨の開発に関わった企業に、多額の投資をして仮想通貨業界を発展させた経歴があります。最近では、スイスの金融投資会社であるパンゲアに、ブロックチェーン技術開発のための出資行ったとして話題になりました。

同氏がビットコインキャッシュを支持する理由は、スケーラリビティーの問題解決のためにビットコインより多くの容量を持っているからです。「ビットコインキャッシュこそが、真のビットコインである」というツイートを行い、ビットコインの本質はビッグブロックである旨を強く主張しています。 

ビットコインキャッシュのハードフォーク

ハードフォークとは、1つの仮想通貨が2つに分裂又は、分裂せずに機能がアップデートすることです。ビットコインキャッシュは2018年以降、毎年5月と11月にハードフォークによるネットワークアップグレードを実施しており、誕生以降4回のハードフォークを行っています。

実際にどのような内容のハードフォークが行われたのでしょうか。ここからは、ハードフォークの内容を解説します。

◇ビットコインキャッシュのハードフォークのタイムライン

  • 2017年8月1日:ビットコインキャッシュの誕生
  • 2018年5月16日:8MBから32MBへ
  • 2018年11月16日:ビットコインSVに分裂
  • 2019年5月15日:シュノア署名の実装
  • 2019年11月15日:シュノア署名の拡張

2018年5月16日:8MBから32MBへ

ビットコインキャッシュは、ビッグブロックという理念があります。最終的には、128MB以上のブロックサイズまで拡張していくと見られています。しかし、一気にブロックサイズを引き上げるとどういう影響が起こるか分かりませんので、4倍ずつ引き上げるという段階的な開発を行っています。

最初のハードフォークでは、ブロックサイズを8MBから32MBまで拡張しました。これにより、取引速度はさらに向上し、注文や送金の遅れなども大幅に軽減されました。また、Satoshi OP_codesというオペコードの追加により、スマートコントラクトも実装しました。

2018年11月16日:ビットコインSVに分裂

2回目のハードフォークは、仮想通貨の歴史に大きく刻まれる出来事「ハッシュ戦争」が発生しました。後述にて説明します。

当初は、オラクルを活用したスマートコントラクトとクロスチェーンの実装を行う予定でした。しかし、 ブロックチェーンの研究開発を行うnChainを率いるクレイグ・スティーブン・ライト氏らがこれに反対。128MBとオリジナルのビットコインの開発を目指し、別のチェーンをマイニングすると宣言したことで、ビットコインキャッシュがハードフォークにより分裂するのではないかと業界に激震が走る事態となりました。

そして2018年11月16日に、ハードフォークが実施され、ビットコインキャッシュが2つに分裂し、ビットコインSV(Satoshi Vision)が誕生しました。
 
具体例な分裂後の変化と、支持している主なプレイヤーは以下の通りになります。

  • ビットコインABC:ロジャー・バー、ジハン・ウー(ビットメイン)
  • ビットコインSV:グレイグ・S・ライト、Coingeek

ビットコインABC

元々、ビットコインキャッシュはビットコインABCが開発を行っていたため、ビットコインABCとも呼ばれるようになりました。こちらは、先ほど紹介した有名投資家であるロジャー・バー氏が支持している仮想通貨です。もう一方のビットコインSVよりも、ハッシュパワーがあったために、価格が高く、また開発における技術面でも優勢なため、ユーザーからの信頼性も高いと言われています。米国最大の取引所コインベースでも、ビットコインABCは扱っているものの、ビットコインSVの取り扱いはされていません。

ビットコインSV

もう一方のビットコインSVは、ビッグブロックという方向性ではビットコインABCと同じですが、その他のアップデートで意見が分かれました。そのため、ハードフォーク時に32MBだった容量を128MBに改善され、ビットコインの開発において一度排除された4つの開発を実装しました。

ハードフォーク後は、価値に差額はあるものの、どちらも消滅せずに売買が続けられています。ただし、2020年1月時点では、ビットコインキャッシュの時価総額が4400億円あるのに対して、ビットコインSVは約半分の2150億円となっています。

2019年5月15日:シュノア署名の実装

シュノア署名を導入し、取引の署名データを縮小しました。署名データを縮小することで、1つのブロックに収めるデータをより増やすことができるため、取引スピードを向上させます。

なお、この時点ではビットコインには実装されていませんが、2020年に実装予定とされています。

2019年11月15日:シュノア署名の拡張

シュノア署名システムを拡張し、3種の署名検証命令すべてが対応できるように変更が加えられました。また、取引セキュリティーを向上しました。

ハッシュ戦争とは

ハッシュ戦争は2018年11月16日に、ビットコインキャッシュに起きたハードフォークの際の争いを指します。2つの仮想通貨のうちどちらが、ビットコインキャッシュを名乗るかを争ったのです。
 
ハッシュ戦争は、意見の食い違いが発生したため、「よりよいシステムを作った方がビットコインキャッシュとして生き残る」と真向から対立しました。当時ハッシュ戦争に負けたコインは、分裂後に消滅してしまうのではないかとも言われ、投資家から注目されていたのです。

  • 機能面を強化したい思想:ロジャー・バー
  • 通信速度を強化したい思想:グレイグ・S・ライト

 この2つの意見の下で、大きな対立が生まれコインの生き残りをかけたマイニング競争が行われました。ハードフォークの際には、ロジャー・バー氏が代表を務めるBitcoin.comはビットコインのマイニングを中止。全てのマイニングマシンでビットコインABCをマイニングする行為に出るなど、まさにハッシュパワーによる戦争となったのです。

チェーンの分岐後は、ビットコインSV側であるCoingeekのカルヴィン・エアー氏がそれぞれの仮想通貨を受け入れる旨の発表を行い、双方の争いは沈静化しました。

分裂当初は、ビットコインSVの価格が大きく下落し、ほぼ無価値になるのではないかという意見もありました。しかし、ビットコインSVの開発に携わったグレイグ・ライト氏が「ビットコインSVは消える仮想通貨ではない」という旨の発言を行ったことをきっかけに価格が安定しました。

参考:ビットコインキャッシュ(BCH)分裂騒動まとめ 事の発端は内輪揉めから?

ハッシュ戦争後の取引所の対応

ハッシュ戦争の際に、ビットコインキャッシュが分裂し、ビットコインABCとビットコインSVになった際取引所によって扱いや対応は違いました。

  • ビットフライヤー:ビットコインABCをビットコインキャッシュとして扱う
  • コインチェック:ビットコインABCをビットコインキャッシュと表記SVは一時非対応
  • GMOコイン:ビットコインキャッシュとして表記
  • SBI VCトレード:ビットコインキャッシュの取り扱いを廃止

 取引所によって対応は違うものの、ビットコインABCをオリジナルチェーンとして扱う取引所が多いのが現状です。

またハードフォークされたばかりの2018年中は、ビットコインキャッシュやビットコインSVの入出金を一時停止していましたが、現在は全ての取引所でサービスを再開しています。

なお、ビットコインSVは誕生から1年以上経過しても、日本のホワイトリストに追加されておりません。

ビットコインキャッシュの今後

早い送金、安い手数料という使いやすさを求めて開発されています。多くのトラブルに見舞われながらも、時価総額は上位を維持しており、定期的にアップデートされています。世界中の多くの取引所で取り扱いがあることから、投資家からも信頼されているとみて良いでしょう。

仮想通貨決済においては、ビットコインが主流となっていますが、今後アップデートが繰り返された後には、ビットコインキャッシュが優勢となるかもしれません。

今後、仮想通貨が普及して言った場合、ビットコインキャッシュが台頭する可能性も十分あるのではないでしょうか。