仮想通貨(暗号資産)のETF承認を巡るニュースが相次いでいます。米国のSECによるETF承認のニュースが最もインパクトがありましたが、実は米国以外の香港でも仮想通貨のETFが承認されています。しかも香港ではビットコインだけでなくイーサリアムのETFも承認されており、米国に先駆けて暗号資産の「証券化」が進んでいます。

こうした動きは海外でのものですが、日本では仮想通貨のETFが上場することはないのでしょうか。業界ではどうも「蚊帳の外」の感もある日本の投資環境について考えてみたいと思います。

ビットコインとイーサリアムはすでに証券化された

冒頭で述べたように、暗号資産の2大巨頭ともいえるビットコインとイーサリアムは、すでにETFが承認され、証券化されました。米国でもイーサリアムETFが承認され、香港に続いてETFを通じた売買が可能になりました。

筆者はビットコインとイーサリアムが2大巨頭で、それ以外のアルトコインについてはステーブルコインしか生き残らないのではないかと見ています。ステーブルコインはそもそもビットコインとイーサリアムとは役割が異なるため、ETFにする必要はありません。

そうなると、ビットコインとイーサリアムがそれぞれETF化したことで、仮想通貨の証券化はひとまず一段落といったところでしょうか。今後はビットコインとイーサリアム、もしくはそれ以外の仮想通貨で構成されたインデックス銘柄のようなものが出てくるかもしれませんが、それでも対象となるのは一部のメジャーな仮想通貨のみでしょう。

ETF承認による取引の活発化と価格上昇

ETF承認は、市場に対してポジティブな影響をもたらしました。特にその影響が顕著だったのは、ビットコインです。他ならぬビットコインのETFであること、仮想通貨初のETFであることなどインパクトはとても大きく、ETF承認の噂が流れ始めた時期から価格の高騰が始まり、実際にETF承認されたことを受けてさらに上昇しました。

一説によるとETF組成のために毎日5億ドルの買いが入っていたとのことです。これだけでもインパクトは絶大ですが、このニュースによって買いが買いを呼び、ビットコインは対円でも1千万円をあっさりと突破しました。

イーサリアムについては、ビットコインの時ほどのインパクトはなかったものの、米国でのETF承認のニュースが流ると急騰する場面がありました。

このことだけを見ても、ETFが承認されるということは該当する暗号資産だけでなく、証券市場が活性化することが分かります。

日本で暗号資産ETFは誕生するか

ここまでの話は、米国と香港のものです。どうも日本は仮想通貨の世界では「蚊帳の外」で、日本発の話題がほとんどない状況です。ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトは名前からして日本人っぽいのですが、これも本名なのかどうかも明らかではありません。

日本発の仮想通貨もいくつかありますが、ほとんど価値のない草コインです。

それなら日本でも仮想通貨のETF承認はあるか?と期待したくなりますが、そんな動きは全く見られません。おそらくどこの資産運用会社も承認申請すらしていないものと思われます。

ETFがなくても国内から自由に仮想通貨の現物取引ができますし、証券会社によっては暗号資産FXといってデリバティブ商品もあります。ETFについても国内から米国などの仮想通貨ETFを簡単に売買できるため、投資家にとっての不自由はほとんどありません。

それでは日本では仮想通貨のETF誕生は法的に不可能なのかというと、そんなことはありません。ETFというと株価指数を対象としたものしかないように思われがちですが、日本にも石油など資源、商品を対象としたETFはあります。株式以外のETFも実際に存在しているので、分離課税の対象となる暗号資産のETFが上場することに法的な問題はないと思います。

日本の証券市場活性化と仮想通貨投資家の不利な状況を改善するためにも、ぜひ日本でもビットコインETF、イーサリアムETFの誕生に期待します。

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