アルトコインとは何か?—誕生年表や質の推移なども解説

アルトコインとはなにか

みなさんはアルトコイン(Altcoin)という名前を聞いたことがあるでしょうか。

ビットコインなら知っている、そんな方は多いと思います。しかし仮想通貨に少し興味のある方や実際に投資している方ならイーサリアムやリップルという仮想通貨は聞いたことがあるでしょう。

このイーサリアムやリップルなどのビットコイン以外の仮想通貨のことをさして「アルトコイン」と総称しています。

そこで今回は、仮想通貨について知りたい!という方にアルトコインについて分かるように、その種類や主要アルトコインにどのようなものがあるのかについて説明していきます。

目次

仮想通貨とは

そもそも仮想通貨とはなんなのか、ということを簡単に説明します。

仮想通貨というのはSatoshi Nakamotoという人物および、エンジニア集団がインターネット上に発表した論文「Bitcoin: A Peer-To-Peer Electronic Cash System」をもとに作成されたビットコインに端を発します。

その特徴として、法定通貨と異なり「中央管理者がいない場合がある」ことや、「ブロックチェーンという技術の利用」、「暗号技術が用いられている」ことなどが挙げられます。

法定通貨と交換できることから、キプロス危機や中国の人民元切り下げなどに伴うキャピタルフライト(資金逃避)でビットコインは買われ、日本における法整備の進展により2017年には投機熱が過熱しました。

アルトコインとは「ビットコイン以外の仮想通貨の総称」と考えていただければイメージしやすいでしょう。

代表的なアルトコイン

アルトコインは、今や数万種類以上あると言われています。

coinmarketcap アルトコインの数

【参照元: CoinMarketCap

ビットコインから派生したビットコインキャッシュや、イーサリアムと機能はほとんど同じでも使えるプラットフォームがポリゴンなど様々なアルトコインなどがあります。

アルトコインの時価総額

記事執筆時点において、仮想通貨市場全体の時価総額は140兆円程度あり、このうちビットコインは約50兆円を占めています。仮想通貨の時価総額の40%ほどをビットコインが占めていることもあって、ビットコイン以外の仮想通貨がアルトコインと言われる理由も分かりますよね。

では、主要なアルトコインの時価総額はどの程度あるのでしょうか。

2022年10月25日時点で時価総額上位20位までのアルトコインを紹介します。

※アルトコインなのでビットコインは除きます。因みにビットコインは全仮想通貨内ダントツで1位です。

現在のアルトコイン一覧

出所:CoinMarketCap(2022年10月25日 時点)

日本で購入可能なアルトコイン

日本で購入可能なアルトコイン (ビットコイン除く) は2022年10月25日時点では40種類あります。

ETH BCH LTC XRP
XEM ETC MONA LSK
XLM QASH BAT HT
OMG IOST ENJ TRX
DOT ATOM PLT ADA
ONT XYM JASMY LINK
MKR XTZ SOL FTT
DAI BOBA SAND FCR
MATIC BSV ZPG KLAY
DOGE CHZ AVAX  

特にモナコインは日本の2ちゃんねる (現5ちゃんねる) 発祥のコインです。2013年12月に誕生したもので、目的はインターネット上での少額取引での使用で、現在では主にコミックマーケットや動画配信などと組み合わせて”投げ銭”等に利用されています。秋葉原のパソコンショップではモナコインで支払う”モナ払い”を導入したりと、日本のカルチャーと強いリンクを持ったコインと言えます。

国内の仮想通貨取引所の取り扱い通貨一覧は、次のリンクを参照してください。

仮想通貨取引所 取り扱い通貨比較

アルトコイン誕生年表

次にアルトコインの誕生年表を見ていきましょう。運用開始という意味で「誕生」という言葉を用いています。

国内取引所で取り扱われているアルトコインの時価総額上位10位の誕生をまとめました。各通貨によって色分けしてあります。

アルトコイン開発年表

実はリップルはビットコインよりも先に考案され、開発されていました。しかし、ビットコインの方が先に話題になったため仮想通貨の代名詞となり、リップルの方はアルトコインのくくりに含まれるようになったのです。

これを見ると2009年のビットコインの運用開始を端緒として2013年以降から盛んに新たな仮想通貨が考案・発行されてきました。

この年表からはっきりと分かることがまず一点あります。

それは、仮想通貨業界はまだまだ発展途上であるということです。

実際時価総額の上位を占めている銘柄にはビットコインやイーサリアムなど2010年代前半からある「伝統的な」仮想通貨だけでなく、バイナンスコインやアバランチなど最近登場した銘柄もあります。

新しい技術や承認方式も生まれていることから、まだまだ新興通貨が誕生し、時価総額上位に参入してくることでしょう。

アルトコインの変遷

アルトコインの変遷

ビットコインは決済及び送金手段として誕生した仮想通貨です。しかし、イーサリアムは、Dappsと呼ばれる分散型アプリケーションを行うための開発プラットフォームです。そこで利用されるのがETHというアルトコインとなります。

2017年までは、アルトコインはブロックチェーン技術を用いた新たな技術開発を行うために新興企業やエンジニア集団によってつくられることがほとんどでした。

ブームと共に誕生した草コイン

しかし、2017年になると仮想通貨は資金調達の手段として注目が高まり、様々な企業やプロジェクトがICO(新規仮想通貨公開)を実施。その結果、非常に多くのアルトコインが誕生しました。

ところが、中には資金を集めただけで全く開発がされていない仮想通貨や、詐欺のためにつくられたアルトコインもあったほどです。これらのアルトコインは時価総額が低く、プロジェクトの情報も乏しく、取引高もないため、次第に「草コイン(英語ではShitcoin=クソコイン)」と呼ばれるようになってきました。

ただ、2017年後半になるとツイッターをひらけば投資初心者の方でも仮想通貨で大儲けをしたことを報告している様子が散見されるなど、「仮想通貨長者」という言葉が誕生するほど仮想通貨は盛り上がりを見せてきました。そうなると、まだ価格の上がっていない草コインにすら投資資金が入るようになり、草コインが10倍、20倍になるといったことが多発したのです。

関連記事:一時期話題になった草コインは今どうなっているのか?

この時期に草コインが加速的に増えていった背景には、「仮想通貨=儲かる」といった認識による部分が大半を占めており、草コインでもつくれば価値が上がるというサイクルがあったからだと推察されます。

しかし投機が先行している一方で、開発が進んでいないブロックチェーンプロジェクトの仮想通貨も多く、2018年に入るとすぐに投機熱が冷え込みました。仮想通貨の急激な増加と投機熱だけの盛り上がりは、仮想通貨自体とそれを支えるブロックチェーン技術の発展を推し進めましたが、それと同時に質の低い通貨が大量に流布してしまう状況だけでなく、開発資金を募ってから持ち逃げする等の事件も招きました。

アルトコインのトラブル例

その持ち逃げ事件の具体的事例の一つとして、ICOで2.32億ドルを調達したテゾス(Tezos)があります。

2017年の11月に、テゾスの創業者であるキャスリーン・ブライトマンとその夫のアーサー・ブライトマン、そしてICOの「受け皿」となったスイスの基金らが、米国の投資家から集団訴訟を起こされました。

他にも、有名ボクサーのメイウェザー氏や有名DJのDJ Khaled氏がCentra Tech社のICOに関して、宣伝費を受け取っていたにも関わらずそれを公開せずに宣伝をしたとして、2018年11月29日に提訴され受け取った報酬の返金及び罰金が課せられました。既に同年の4月にはCentra社のICOが「連邦証券法の適用対象になる証券であり、それが2500万ドル以上。そして電信送金詐欺である」としてSEC (米証券取引委員会)によって提訴され、創業者3名が逮捕されています。

【参考: ZDNET, COINPOST, CNET Japan, CNN.co.jp

こういった事件に加えて、2018年1月26日のCoincheckでのNEMの大量流出による約580億円の盗難などが仮想通貨の価格下落に拍車を掛けていきました。

ビットコインは高値から半値以下に落ち込みましたが、アルトコインは上で述べた通り、流動性が無かったり、開発が進んでいないものが多かったため、下落率はビットコインを上回ることとなりました。投機的資金が集中していたため、イーサリアムやリップルといった時価総額上位のアルトコインですら、高値から10分の1ほどに落ち込みました。

2017年以降のアルトコインの時価総額高騰の推移を見てみると、新たにアルトコインが増えているにも関わらず、時価総額は2017年秋ごろと変わらない水準で推移していることが分かります。

2019年までのアルトコイン時価総額推移

2018年に入ってからは、詐欺や開発力のないアルトコインは淘汰されており、より質が高く実用的なブロックチェーンの開発とアルトコイン運用が進められています。

ステーブルコインやペッグ通貨の開発も進んでおり、GMOグループからは「日本円版Tetherを目指す」として、米ドルではなく日本円とペッグしたGMO Japanese Yenの運用が開始されました。

参考:ステーブルコインの種類と特徴

こうして技術力の高いチームが着々と「仮想通貨の質」を重視し、開発を継続してきた結果、2020年仲介者のいない金融サービスを提供するDeFiサービスの登場を皮切りにアルトコインの時価総額は一気に上昇。

2017年の「仮想通貨バブル」を優に超える市場規模へと急成長しました。

2019年以降のステーブルコインの価格推移

革新的な技術を活用したプロジェクトなど実態のともなったアルトコインがどんどん生み出されており、今後もアルトコインの動向には注目ですね!

まとめ

アルトコインについておおよそ理解できましたでしょうか?

近年将来性の期待できるアルトコインが多く誕生するとともに非常に価値の低いアルトコインを乱造する事態が発生しており、仮想通貨自体に疑問が持たれています。

そのため、2019年以降は、特に仮想通貨の”質”が非常に重視されており、どこのブロックチェーン上のプロジェクトなのか、どのような経歴を持ったメンバーがどのような技術を使いプロジェクトを進めているのかなど「実現可能性」や「技術的な先進性」などに着目して投資する人も増えています。

アルトコインと一口に言っても数万種類以上も存在します。技術力の高いプロジェクトを見抜き投資できれば大きな収益をあげることもできるでしょう。

仮想通貨の質を重視して投資する人が増加し、これまでより健全な投資環境となった仮想通貨。ブロックチェーンの技術そのものへの関心も高まりつつあり実社会で活発に利用されるのもそう遠い話ではないかもしれません。

仮想通貨ひいてはブロックチェーン技術の発展からは今後も目が離せません。

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