EOS(イオス)は、2017年に登場した比較的新しい仮想通貨であり、取引処理速度の速さや分散型アプリケーションプラットフォームを採用しているという特徴があります。
登場直後にも関わらず価格が高騰し、時価総額ランキングトップ10入りしたことで話題になりました。
今回はEOSの特徴と将来性を解説していきます。
EOS(イオス)とは
EOSとは、分散型アプリケーションのプラットフォーム及び資金調達を目的として発行される仮想通貨であり、大企業同士の間で使用される構想を掲げて開発されました。
まずはEOSの概要を確認してみましょう。
EOSという名称は、仮想通貨の単位としてだけではなく、プラットフォームの名称としても用いられています。
ここでは、プラットフォームとしてのEOSを「EOS」、仮想通貨としてのEOSを「EOS通貨」と表記して解説していきます。
EOSにおけるプラットフォームは、EOS.IOというソフトウェアを中心として展開されているものです。
迅速な処理能力とスムーズな取引を可能としており、分散型アプリケーションプラットフォームとして高い質を誇っています。
EOSのICOでは、10億トークンのうち20%にあたる2億トークンがはじめの5日間で配布されます。
その後、70%にあたる7億トークンが、24時間ごとに200万トークンずつ配布されていきます。
残り10%の1億トークンは運営が保有する仕組みとなっており、ICOの期間が長いことでも知られています。
なお、EOS通貨は資金調達における手段として開発された仮想通貨であり、決済機能を持っていません。
そのため、EOS通貨は単体では価値を持たないトークンといえます。
実際に配布終了から48時間後には取引が出来なくなる仕組みが施されており、資金調達以外に仮想通貨として使用することは不可能です。
しかしながら、それでもICOによって多くの資金を実際に調達しています。
加えて、Facebookが5万2千、Googleが4万のEOS取引サポートに回っており、速度への信頼性も盤石といえます。こうした注目度の高さもEOSのポイントです。
では、EOSにはどんな特徴があるのか、確認してみましょう。主な特徴は4つです。
• 処理速度
• 手数料無料で使用可能
• Delegated Proof of Stake(DPoS)
• トークンの価値を支える開発体制
次に、その特徴を1つずつ解説いたします。
EOS(イオス)の4つの特徴
次に、EOSの持つ特徴について説明していきます。
本来EOSは大企業の間での取引に用いられることを想定し、有用な分散型アプリケーションプラットフォームとして開発されました。
そのため、処理速度の速さやセキュリティシステムといった特質を兼ね備えています。
またトランザクション手数料がかからないという一面もあります。
このことから、同じ分散型アプリケーションプラットフォームであるイーサリアムに勝るとも劣らないと評されました。
一方でEOS通貨に関しては、主に投資、資金調達の目的において運用されているため、仮想通貨の中では特殊で独立した存在ともいえます。
処理速度
EOSの大きな特徴として挙げられるのは、その処理速度です。
EOSの取引では、非同期通信との並行処理を行うことによって、1秒に100万件という非常に迅速なトランザクション処理(取引処理)を行うことができます。
速度は毎秒数百万件というスピードで、ビットコインと比べると数十万倍の速度といえます。
仮想通貨の世界において、処理速度で長けていると言われているリップルでさえも、1秒間に処理することができるのは1,500件ほどです。
こうして比較をすると、文字通り桁違いのスピードであることがわかります。
また、その速さがわかるのは、仮想通貨の世界だけではありません。
クレジットカード決済と比較しても、EOSでの処理速度は圧倒的に速いのです。
世界で最も広く使われているクレジットカード・VISAカードよりも高速であるという事実があります。
これほどの速度を誇っているため、ほとんど即時での送金が可能となります。
ビットコインのトランザクションにおいて問題となっている、スケーラビリティ問題さえもクリアできているのです。
手数料無料で使用可能
展開する分散型アプリケーションプラットフォーム(DApps)においては、取引手数料が無料ということも、EOSの大きな特徴となります。
本来、分散処理を行う際には、少額ではあるものの処理ユーザーに対して支払う手数料が発生しますが、EOSではその手数料がかからないという大きなメリットがあるのです。
ビットコインやイーサリアムは、送金やスマートコントラクトの実行の際に手数料(gas)が発生しますが、EOSではこれがかからないのです。
そのため、ユーザーはDAppsを従来のアプリケーションと同じ感覚で利用でき、アプリケーションの開発サイドでは利用に対するハードルが下がるためユーザー獲得がしやすくなります。
それでは、なぜEOSには手数料がかからないのかというと、ビットコインなどでは送金者の手数料が直接マイナー(取引の承認者)にブロック生成報酬として支払われていましたが、EOSでは新規発行したトークンを報酬として取引の承認者に与える仕組みがあるからです。
トランザクションにおいて発生する手数料は、その額が大きく、取引の回数が多いほどに足かせとなります。
つまり手数料がかからないことにより、大企業同士のビジネスなどの取引額と取引回数が多い場面においては、非常に有効といえるのです。
Delegated Proof of Stake(DPoS)
EOSの特徴として、Delegated Proof of Stake(DPoS)というアルゴリズムを採用していることが挙げられます。
高速なトランザクション処理を可能にするアルゴリズムであり、分散型アプリケーションプラットフォームでは注目されています。
DPoSではネットワーク参加者の投票によって、ブロック生成者が選定され、選ばれたブロック生成者が実際にブロックを作成していきます。
ブロックが作成されるとトークンが新しく発行され、ブロック生成者に報酬として与えられるという仕組みになっています。
しかし、トークンを無制限に発行してしまうとトークン自体の価値が薄まってしまうことで価値が減少してしまうため、1年で5%以下の供給を想定しています。
このシステムにおいて注目を集めているのは、セキュリティに関する面が大きいといえるでしょう。
DPOSでは、「投票プロセス」と「ブロック生成プロセス」の2つの要素から成り立っています。
投票プロセスでは、ユーザー自らが不正なブロックの作成により不利益を被らないように、正当なブロック生成者のみに投票しようとします。
また、ユーザーは持っているトークンの量が多くなると投票における影響力も大きくなります。
EOSでは21人程度もしくはそれ以上のブロック生成者が想定されており、ブロック生成者が3秒ごとに交代でブロックを追加していくため、不正なブロックチェーンはメインの正式なチェーンよりも展開するスピードが遅くなります。
ここでいうメインチェーンの定義は「最も長いブロックチェーン」となっているため、より長く続いたブロックチェーンが正当なブロックチェーンとして認められることになります。
また、攻撃者が正当なブロックと不正なブロックを二重に作成した場合でも、次のブロック生成者が正当なブロックを選択することで攻撃を防ぐことが可能となります。
ここで不正を働いたブロック生成者は次からの投票で選出されなくなるでしょう。
これは、悪意を持ったユーザー及び選出されたブロック生成者(攻撃者)が少数派である限り有効なシステムとなっています。
セキュリティが中央集権でない分散型アプリケーションプラットフォームというシステムにおいて、このセキュリティは非常に大切な意味を持ちます。
DPoSアルゴリズムを採用していることによって、EOSはセキュリティ面でも強さを誇っていると言えます。
トークンの価値を支える開発体制
また、EOS通貨の特徴としては、その価値の高さが挙げられるでしょう。
発表直後から値上がりをし、仮想通貨取引の世界をあっと言わせた過去もあります。
EOSは、それ自体が価値を持たないトークンであるものの、現在でも価値が上昇傾向にあります。
2018年5月の時点では、ライトコインの時価総額を超え、時価総額ランキング5位にまで上り詰めているのです。
ただし、その価値には物理的な裏付けがあるわけではありません。
EOSが誇る有用性の高いアルゴリズムやプラットフォームへの期待感から、このように価値が上昇している現状なのです。
EOSの開発メンバーには、経験豊富で実力のある人材が揃っていると言われています。
また、今後企業間での取引が始まるということからも、期待をする声が多いのです。
企業間での取引となれば、価格の上昇率やその規模は、個人取引とは比べ物にならないほどの刺激的な変動が起こるでしょう。
感覚としては企業の株式投資と同じように、今後の成長に対して期待が高まっています。
さらには、EOS通貨保持者に対して新たな通貨の配当が2018年4月に行われており、今後も何らかのイベントやケアがあることへの期待が寄せられているという側面もあります。
EOSの価格情報:イオス/円(EOS/JPY)、イオス/ビットコイン(EOS/BTC)
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