ウォレットとは
ウォレットとは、その名の通り仮想通貨の財布であり、仮想通貨を保管する場所だといえます。仮想通貨は法定通貨の円やドルと異なり実態のないデータですが、データを保管する用の安全性の高い財布は存在します。
通常、仮想通貨の投資を取引所で行なっている方は、基本的に取引所のウォレットに仮想通貨を保管して取引を行っています。
ただ、この取引所のウォレットに仮想通貨を保管すると、実は2つのリスクにさらされてしまいます。
1つ目は取引所の倒産リスクです。銀行の場合は、倒産しても預金保険法で定められた範囲内で預金1000万円までが返還されるように保護されています。
しかし、仮想通貨の場合は取引所が倒産すれば、保管していた仮想通貨は基本的に全て失います。例外として、ビットフライヤーは返金保証※がありますが、最大500万円まで補償してもらえます。
※Coincheckも損害保険に加入しており、最大100万円まで補償されます。
せっかく利益を上げても、万が一取引所が倒産してしまえば全て失ってしまうのは恐ろしいリスクです。
2つ目はハッキングリスクです。2018年1月26日にコインチェックという日本の大手取引所がシステムの脆弱性を突かれ、ハッキングを受け580億円相当の仮想通貨NEMが盗まれるという事件がありました。
ビットコインなどの仮想通貨自体のセキュリティはブロックチェーンという技術が基盤になっていることで強固に保たれていますが、取引所の管理システムが脆弱だったためこのような事件を招いてしまいました。
これら2つのリスクを考えると、取引所にすぐに動かす予定のない仮想通貨は置かず、可能な限り自己管理しておく方がよいでしょう。
では、そのために必要になる仮想通貨のウォレットについて解説していきます。
ウォレットの種類
まずは、どのようなウォレットがあるのか、各ウォレットのメリット・デメリットは何かをご説明します。
ウェブウォレット
ウェブウォレットとは、インターネット上に仮想通貨を保管するタイプのウォレットです。
インターネットに接続できる場所で秘密鍵さえ使用できれば、どこでも利用できて利便性が非常に高くなっています。
しかし、取引所のウォレットと同様にハッキングリスクにさらされていることに注意が必要です。
具体的なサービスに「Blocchain.info」などがあります。
メリット
- 簡単にウォレットを作成ができる
- デバイスが壊れても仮想通貨に影響がない
- 様々なデバイスで利用ができる
デメリット
- インターネットに接続できないとウォレットを確認できない
- ハッキングを受ける可能性がある
- メンテナンスなどでサイトに一時的に接続できなくなる可能性がある
ローカルウォレット
ローカルウォレットとはPCやスマホといったデバイスに仮想通貨を保管するタイプのウォレットです。デスクトップウォレット、ソフトウェアウォレット、クライアントウォレットとも言います。
ローカル環境に保管され、秘密鍵を第三者のサーバーに送ることがないためウェブウォレットよりも安全性が高くなっています。
また、NEM、XP、といった通貨は条件を満たすとローカルウォレットに保管しているだけでマイニング報酬を得られる場合があります。
ローカルウォレットは、全てのブロックチェーンをダウンロードする完全版と、一部のブロックチェーンをダウンロードする簡易版に大別できます。
完全版の場合はかなり容量が大きく、初回起動に数時間かかることもあります。
具体的に、完全型にはBitcoin Core、簡易型には家族や会社などでグループ共有ウォレットが利用できるCopay や、Bluetoothを使ったビットコインの送受信が可能なAirbitz、スマホで利用できUIが非常に優れているGincoなどが挙げられます。
メリット
- ウェブウォレットと比較してセキュリティが高い
- オフライン(インターネットに接続していない状態)でウォレットを確認できる
デメリット
- 初回起動に時間がかかり容量も大きい(完全版)
- デバイスのウィルス感染やハッキング、故障リスク
- ソフトウェアをインストールしたデバイスでしか利用できない
ハードウェアウォレット
USBやSDカードなどのインターネットに繋がっていないハードウェアに仮想通貨を保管するタイプのウォレットです。
普段デバイスから取り外して管理しておくと、インターネットに繋がることはないのでハッキングリスクはゼロです。
また、故障してもパスフレーズさえ記憶していれば復元が可能なため、多少高価ですが安全性の高いウォレットとなっています。
具体的にはTREZOR、Ledger Nano Sなどの製品があります。
メリット
- ウィルスにも強い
- ハッキングリスクがない
デメリット
- 購入費用がかかる
- 対応していない通貨が多い
- 紛失・破損リスク
コールドウォレット
コールドウォレット、別名ペーパーウォレットとは仮想通貨を紙に印刷しておき保管しておくタイプのウォレットです。紙に印刷して自分で管理しておくだけなのでハッキングの可能性はゼロです。
ただ、中身を確認するのに手間がかかるので不便なのは否めません。
具体的にはビットコインのペーパーウォレットであるbitaddress.orgやリップルのペーパーウォレットであるRipple paper wallet generatorなどがあります。
メリット
- 最も安全性の高いセキュリュティ
デメリット
- 火災などによる紛失の可能性
- ウォレットデータの確認に手間が掛かる
まとめ
仮想通貨のウォレットに関してまとめてきましたが、さまざまな形態があるなかで安全性と利便性がトレードオフの関係になっていることが分かります。
自己管理かどうか、常時ネットワークに接続されているかどうかなど、ユーザーの手続きとしてはどうしても手間と感じるようなものもあるでしょう。
しかし、ブロックチェーンのセキュリティとは別に、取引所のシステム管理リスクや倒産リスクなどが事実として顕在化している状況下で、ご自身の大切な資産を守ることができるのはご自身のみです。
セキュリティに関する適切な知識を身につけ、できる限りさまざまなリスクに備えるためにウォレットの導入を検討しましょう。
その際、ご紹介した4種類のウォレットを用途に応じて使い分けいただくことをオススメいたします。
本記事を参考に、仮想通貨に対するセキュリティ意識を高め、安心してお取引できる環境形成の一助となることができれば幸いです。
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