トランプ政権による関税政策の目まぐるしい変更や金利上昇、インフレ懸念といったマクロ経済の混乱がニュースを賑わせる一方、ビットコイン価格は比較的安定した動きを見せています。
一部の専門家はこの状況こそが将来の大きな上昇を示すシグナルだと捉えています。
こうした中、資産運用会社BitwiseのCIO(最高投資責任者)であるマット・ホーガン氏や、大手仮想通貨取引会社FalconXのシニアトレーダーであるマシュー・シェフィールド氏といった専門家が現在の短期的な市場変動と仮想通貨に対する長期的に強気な見解を示しています。
短期的な混乱と長期的な強気姿勢
ホーガン氏は現在の市場について「短期的な視点では、今の仮想通貨で唯一確実なのはボラティリティ(価格変動の激しさ)です」と述べています。関税政策を巡る混乱で市場が大きく揺れ動く中、短期的な予測は困難であるとの見方です。
一方で「長期的な視点で見れば、非常に強気な環境にいると思います」とも語り、ビットコインや他の仮想通貨の基盤となる要因は依然として強いと強調しました。FalconXのシェフィールド氏もこの見方に同意し「クライアントの間で短期的な期待や不安と長期的な強気姿勢との間にこれほど強い乖離を見たことがありません」と、市場参加者の間で短期と長期の見通しに大きな隔たりがあることを指摘しました。
ビットコインは年内20万ドルへ?
特に注目を集めているのが、ホーガン氏によるビットコインの価格予測です。彼は「(ビットコイン価格は)年末までに20万ドルまで到達する可能性があると考えています」と大胆な予測をしています。
その根拠として、根本的な需要と供給のミスマッチを挙げています。ビットコインの新規供給量は年間約16万5000BTCであるのに対し、昨年(2024年)だけでビットコインETFは約50万BTC、企業は約35万BTCを購入したと指摘。さらに今年は政府による購入も期待されるとして「構造的にビットコインへの需要は新規供給量をはるかに上回っています」と説明しました。
この需給ギャップを埋めるためには、既存の保有者がビットコインを売却する必要があります。ホーガン氏は多くの保有者が売却を考える心理的な節目が20万ドルになるのではないかと推測し「マクロ経済の市場が落ち着けばこの根本的な需要と供給のミスマッチがビットコイン価格を押し上げ、既存保有者からの売りを引き出すまで上昇させるでしょう」と語りました。
シェフィールド氏もホーガン氏の強気な見方を支持し「私の予測は(ホーガン氏よりも)高いです」と述べています。具体的な価格目標は明言しなかったものの、ビットコインETFへの資金流入が好調に続くと予想。「昨年、ETFには年間400億ドルから800億ドルの流入があると予測しましたが、今年はそのレンジの上限(800億ドル)に達しても驚きません」と語り、その資金流入が価格を押し上げる要因になるとの見方を示しました。
市場は「ファンダメンタルズ」重視へ
ホーガン氏は現在の仮想通貨市場が以前のサイクルとは異なり、単なる投機的な値上がり期待だけでなく、各プロジェクトの「ファンダメンタルズ」が重視される段階に入ったとも指摘しています。
ホーガン氏は「過去のサイクルのようにビットコインからリスクの高い様々なアルトコインへ資金が流れるという単純なものではなく、よりファンダメンタルズに基づいた差別化が進むサイクルになるでしょう」と述べました。例として、2024年にイーサリアムが伸び悩む一方でソラナが急騰した現象を挙げ、これは単なるリスクオン・リスクオフではなく、実際の利用状況や技術的な進展といったファンダメンタルズの違いが反映された結果だと分析しました。
また、DeFi(分散型金融)分野についても「規制の転換や技術的な進歩により『DeFiサマー2.0』が来る可能性がある」とホーガン氏は期待感を示しました。ストレス耐性が証明され、取引コストも大幅に低下したDeFiプロトコルが規制緩和によってさらに市場を拡大する可能性を指摘しています。
ドル安と規制緩和も追い風か
マクロ経済の面では、トランプ政権が目指すドル安政策もビットコインには追い風になるとの見方があります。ホーガン氏は「歴史的に見て、ドル安はビットコインにとって非常にポジティブです。(ドル安は)ビットコインにとっては上昇しかありません」とコメントしました。
さらに、両氏が共通して強調したのが「規制リスクの低下」です。ホーガン氏は「市場はこの規制リスクの大幅な軽減を過小評価している可能性があります。私たちは市場を大規模にリスク回避したのです」と述べ、規制環境の好転が仮想通貨市場の長期的な成長にとって極めて重要であるとの認識を示しました。シェフィールド氏も規制対応にかかっていたコストが削減され、プロトコルの開発や普及に資金を回せるようになる点を指摘しています。
短期的な市場の混乱は続く可能性があるものの、著名な投資家たちはビットコインの長期的な見通しについて依然として強気です。ETFを通じた機関投資家の資金流入、企業や政府による採用拡大、そしてファンダメンタルズ重視への市場の変化がビットコインを新たな高みへと押し上げる可能性があると期待されています。
記事ソース:Unchained
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