2014年に実施されたEthereum(イーサリアム)のICOに参加したとされるアドレスが、10年以上動かされていなかった334 ETHを昨日移動させたことが明らかになりました。このアドレスは当時EthereumのICOで104ドルを投資し、334 ETHを取得していました。
334 ETHの現在価格は約148万ドル(約2.2億円)となっており、これは実に14,226倍のリターンとなります。ETHが送信された先のアドレスは先日新たに作成されたアドレスで、現在のところETHの売却やステーキング、DeFiでの運用などは行われていません。
ICOは2017年末からの暗号資産バブル時に新規プロジェクトのトークン配布と資金調達方法として最も大きな注目を集めました。しかし、詐欺的なプロジェクトによる資金調達事例の増加や市場の盛り下がりなどを理由にその後下火となりました。しかし、昨今、このICOが再び注目を集めつつあります。
エアドロップモデルの限界とICO再評価の動き
InfoFi(情報の金融)プラットフォームKaito AIの創設者であるYu Hu氏は先月、過去約8ヶ月間にKaitoのパートナープロジェクトおよび自社プロジェクトを通じて約30件のTGE(トークン生成イベント)を間近で観察してきた経験から、昨今のエアドロップやICOに対する自身の見解を示しました。
Yu Hu氏によれば2020年のUniswapの歴史的なエアドロップ以来、暗号資産業界はこの配布方法を広く採用してきました。これは暗号資産の理念と強く共鳴し、規制上の利点もあったためです。そして2024年後半のHyperliquidのTGEでこの流れはピークに達したといいます。
しかし、多くのプロジェクトは自社のTGEを実施する際に課題に直面しています。アクセシビリティと流動性のために10以上の仲介業者を関与させる必要があり、また99%のプロジェクトはHyperliquidのような大規模な買い戻しを支える収益源を持っていません。その結果、今サイクルのトークンは2021年当時と比較して、需要面ではるかに大きな流動性危機に直面しているといいます。
スマートインセンティブとデータ駆動型ICOという新たなアプローチ
Yu Hu氏は新しいアルトコインの多くがローンチ後すぐに大きな下落を経験し、投資家文化がダイヤモンドハンド(長期保有)から早期売却へとシフトしている現状を指摘します。こうした状況を踏まえ、同氏は「スマートインセンティブの文化」という概念を提唱しています。
これは「インセンティブ付きアライメント」(ICO参加やTVLコミットメントなどコストを伴い将来の確信度を示す行動)と、「インセンティブなしシグナリング」(インセンティブ期間外の参加など真の意図を明らかにする有機的な行動)という2つの柱から成り立っています。
Kaitoは先日「Capital Launchpad」を立ち上げ、データ駆動型ICOという新しいモデルを実際に提案しています。
ここでは従来の「早い者勝ち」方式ではなく、プロダクト利用状況、ソーシャルでの貢献、オンチェーン評価、コミットメント、地理的バランスなどを考慮してアロケーションを決定します。
このアプローチにより、コミットメント度の高い参加者の選別、過去の貢献と将来の付加価値の両方を考慮した最適化、新規メンバーの参加促進などが可能になるといいます。Yu Hu氏は「業界は常にインセンティブを再設計し、協調システムを改善する道を進むべきだ」と述べ、より高度なデータと分析を活用する新たなアプローチへの転換を提唱しています。
10数年前のICO参加者が実現した14,226倍のリターンは適切に設計されたトークン配布が長期的な価値創造につながることを示していると捉えられます。暗号資産業界は今、トークン配布からインセンティブの設計と調整に至るまで新たなアプローチへの転換期を迎えているのかもしれません。
記事ソース:Etherscan
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