9月の政策転換に向け地ならし、雇用リスクの増大を強調
米ワイオミング州ジャクソンホールで開催中の連邦準備制度理事会(FRB)年次経済シンポジウムで、ジェローム・パウエルFRB議長が8/22 23:00から基調講演を行い、金融政策の転換点が近づいていることを示唆した。市場はこれをハト派的なメッセージと受け止め、主要株価指数が軒並み1%超、暗号通貨においても大幅な価格上昇を記録している。
インフレ鈍化と雇用悪化のジレンマ
パウエル議長は「The Economic Outlook and Framework Review」と題した約20分間の講演で、米国経済が直面する二つのリスクのバランス変化を強調した。
インフレーションについては、パンデミック後のピークから大幅に低下したものの、7月時点でPCE物価指数が2.6%(コアは2.9%)と依然として目標の2%を上回っていることを認めた。特に関税引き上げによる輸入品価格の上昇が今後数カ月で蓄積する可能性に言及したが、これを「一時的な価格水準のシフト」と位置づけ、持続的なインフレーションにはならないとの見方を示した。
一方で、雇用市場の急速な冷え込みに強い懸念を表明。失業率は4.2%と歴史的低水準を維持しているものの、雇用創出が過去3カ月平均で月3.5万人まで鈍化(2024年平均の16.8万人から大幅減)していることを指摘。「雇用リスクは下方寄りだ」と繰り返し、レイオフ増加や失業率上昇の可能性に警鐘を鳴らした。
9月利下げへの布石
注目の金融政策については、「リスクバランスの変化により、政策スタンスの調整が適切になる可能性がある」と述べ、事実上9月の利下げを示唆。現在の政策金利は依然として「制限的」であり、雇用への下方リスクが高まる中で緩和の必要性を認めた格好だ。
ただし、「事前に決められたコースはない」「データ次第だ」との慎重な文言も繰り返し、具体的な利下げ幅や回数については言及を避けた。市場では9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%利下げ確率が75%超まで上昇している。
市場は歓迎、株価・暗号資産が急騰
パウエル議長の講演を受けて、金融市場はリスクオンムードが広がった。S&P500種株価指数は1.3%上昇、ナスダック総合指数も同程度の上げ幅を記録。ダウ工業株30種平均は一時700ポイント超の急騰を見せた。
米国債利回りは低下し、ドルは主要通貨に対して軟調に推移。暗号資産市場も活況を呈し、ビットコインは11万5000ドルを突破、イーサリアムも4600ドル台に急伸した。
今後の注目点
シンポジウムは現在も継続中で、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁や英国中央銀行(BOE)のベイリー総裁など、他の主要中央銀行トップの発言も予定されている。グローバルな金融政策の協調や、各国のインフレ対応策についての議論が注目される。
パウエル議長は関税政策がグローバル貿易システムを変革していることにも言及し、需給両面への影響と消費者価格への波及を警戒。トランプ前政権下で導入された関税の影響が長期化する可能性も示唆した。
FRBは9月17-18日に次回FOMCを開催予定。今回のジャクソンホール会合での発言を踏まえ、2019年以来となる利下げサイクルの開始がほぼ確実視される状況となった。ただし、インフレの再燃リスクと雇用悪化のバランスをどう取るか、FRBの舵取りは依然として困難な局面が続きそうである。
The post 【速報】ジャクソンホール会合:パウエル議長が利下げ示唆、 $ETH は1時間で+6.5%の上昇 appeared first on CRYPTO TIMES