◆2017年相場も残り2週間あまり。今年はどんな相場だったかを聞かれると、「チャート屋泣かせだった」と答えている。日経平均株価は10月に16連騰をマークし、57年前の記録14連騰を大きく塗り替えた。サイコロジカルラインは12勝0敗を5日間も続け、終わってみればこの10月に下げたのはたったの2日(19勝2敗)。このときばかりは経験則がまったく通用しなかった。

◆NYダウもチャート屋泣かせだった。この12月も米雇用統計、FOMCなど注目イベントをこなして過去最高値を更新中(14日現在2万4672ドル高値)だが、今年はテクニカル指標の過熱信号が通用しなかった。RCI(順位相関指数)は年初から日足、週足、月足のいずれもが「警戒信号」を灯したが、大きな調整を見せることなく年初の2万ドル近辺から23%上昇している。

◆チャートでは「テクニカルよりトレンド(流れ)が優先する」。過熱信号を灯していても「もうはまだなり」の展開が時として演じられ、サブプライムやリーマンショックの時は逆の展開で「もうはまだ」を続けた。「流れに従え」をまず基本にするのはこのためだ。

◆では、テクニカル指標は当てにならないのか…というと、そうではない。過熱は過熱の地合いにあることを、底値は底値の地合いにあることを「示唆」する役目があり、トレンドが変化するとテクニカル指標の示唆する信号が一気に表面化する。今年はあまり的中しなかった過熱信号だが、来年も当たらないとは言えないだろう。

◆今年の強い相場の大きなポイントは(1)カネ余り(過剰流動性)、(2)好景気・好業績、そして(3)AI指令相場。いま世界で話題を集めるビットコイン だが、ここにも投機マネーはもちろん、機関投資家たちが溢れたマネーを振り向けていて、経験則の通用しない「もうはまだ」を演出している。ただ、ビットコインの先物がシカゴオプション取引所(10日)とCME(18日)で始まり、これまでの流れに変化を来たす可能性があるだけに注視は怠れないだろう。

◆驚きの多い2017年相場。チャート屋泣かせではあったが、上昇基調であったから総じてハッピーな年だったと言えよう。ハッピーならチャート屋泣かせでも歓迎だ。ただ、カネ余りもAI相場も未体験の領域にきている。流れが変わったあとにどうなるか、そのときもチャート屋泣かせの驚きの展開になる可能性はある。

◆マインドが盛り上がる師走相場だが、日経平均は2万2000円台でもみ合いが続く。もみ合いからの放れが焦点だし、「流れに従う」ことを忘れずに対応して行きたい。

(12月14日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

株探ニュース