米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、フェイスブックが発表した独自仮想通貨「Libra(リブラ)」について、「広範囲な有用性を持つ通貨は利点もあるがリスクもある」と指摘したことが、日経新聞の報道により明らかとなった。

同報道によれば、FRBは「リブラ」発表前からフェイスブックと議論していたこともわかったという。「リブラ」のような仮想通貨によって、金融政策が実施できなくなる可能性については、「あまり懸念していない」と答えたと報じられている。

フランスのルメール財務相も「リブラ」を規制する必要性があると訴え、独自通貨の開発で、主権国家に代わろうとすべきではないと主張している。フランスで7月に開催されるG7財務相・中央銀行総裁会議で協議する必要があるとした。また、英イングランド銀行のカーニー総裁も18日、「高い基準の規制が必要」と言及したようだ。

フェイスブックは18日、独自の仮想通貨「リブラ」の構想を明らかにした。フェイスブックの子会社として新設されるカリブラ(Calibra)で2020年に新仮想通貨リブラを管理するためのデジタル・ウォレットサービスを提供し、フェイスブックのメッセンジャーやワッツアップなどで利用できるようになる。

「リブラ」は銀行口座を持たない層に対する新たな資産保管や送金手段として広く普及し、かつ仮想通貨利用を促進させる可能性を秘めている一方で、各国の規制当局から、犯罪へのリスクや金融政策に混乱をもたらすことなどが指摘されている。政府関係者からは、規制当局者が精査するまで開発を中断するよう要請する声も強まっている。


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