ビットコイン(BTC)は1ヶ月間に渡る下落基調を抜けれず、11月後半には大幅な下落幅を伴う急落も確認。一時6500ドル台と6月の高値更新以降の最安値を更新している。この下落は主に中国政府の意向を示したものとの指摘があるが、ビットコインETFの元申請企業VanEck社の責任者Gabor Gurbacs氏は、4つの要因があると指摘する。

■中国政府の取り締まり強化
まずは、ここ二週間ほどで一連の取り締まりの強化された中国政府関連のものだ。バイナンスやトロン財団のWeibo口座が閉鎖されたことや、中国人民銀行が仮想通貨取引やICO・IEOを改めて違法と発表したこと、さらには、「海外にサーバー置きながらも、中国人を対象にする取引所を追及対象」との警告も、投資家のパニック売りに繋がった可能性があると、Gurbacs氏は指摘した。

深セン市が違法仮想通貨企業・活動を調査では、9社の違法仮想通貨関連企業として特定したことを、深セン市当局が発表するなど、実際の取締り例も相次いだ。

Gurbacs氏は「おそらく、投資家は中国政府の取り締まりを恐れて、ビットコインを売却しより安く買い戻したいだろう」との見解を述べた。

■米国の税金対策
年末に近づき、税金対策を行う米投資家・トレーダーは確定申告の金額を抑えため、仮想通貨を売っていると、Gurbacs氏は指摘した。

米国では通常、1〜12月の一年が確定申告の期間であるため、2018年のように年末に向けて、仮想通貨による所得を確定させるために、売却を行う動きは、主要国で税制が明確化されて以降、約2年間指摘されていた。

これは日本も同様であるが、今年はアルトコインの騰落率が好調とは言い難いため、損益繰越ができない国などでは、そのまま保有を続ける投資家が多い可能性も指摘されている。

■低流動性
次にあげたのは、ビットコインの低流動性だ。流動性リスクには、市場規模や取引量が小さい場合や市場混乱時など買い手が少なくなったケースで、1.換金したい時に換金できない、2.換金したい量に対し需要が少なく一部しか換金できない、3.買い手が少なく大幅な値引きをしなくては換金ができない、などのリスクにも繋がるほか、大口など一つの要因に相場が流されるリスクもある。デリバティブ取引においても、板の厚さは同様に取引環境として最も重要な要素といってもよい。

データサイトSkewのチャートによると、低流動性が影響してか、BitMEX、バイナンス、bitFlyerなど人気取引所でもビットコインのスプレッドが広がりつつある。

Gurbacs氏は「過去三ヶ月、スプレッドが拡大しており、このような状況には要注意だ」と指摘。相場の急騰・急落にも警戒感が高まることが、投資家が資金を投入しづらい悪循環を作り出していると論じた。

■開発費や出資金の換金
上記の要因以外にも、最近のプロジェクト開発費の捻出や、業界内の企業買収は主に仮想通貨で支払われていたことから、地合いが悪くなると換金され、市場の売り圧力になっていることをGurbacs氏は指摘した。

(記事提供:コインポスト)
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