警察庁は19日、犯罪収益移転危険度調査書を公開した。同資料では、2018年度中の暗号資産(仮想通貨)交換業者等への不正アクセスなどによる不正送金の被害額が、前年比100倍超の約677億3,820万円相当に上ることが明らかとなった件数では169件で、前年比20件増となった。

2018年は、1月に仮想通貨取引所のコインチェックから約580円相当の仮想通貨ネム(NEM)が不正流出し、また9月にはテックビューロで約67億円相当が流出した。警察庁はこれらの事案が発生した要因として、『事業者において、事業規模が急激に拡大するなか、マネー・ローンダリング(資金洗浄)等の各種リスクに応じた適切な内部管理体制の整備が追いついていなかったこと』などがあると指摘している。

また、2017年4月~2018年末までの仮想通貨交換業者による疑わしい取引の届出件数は、7,765件であった。内容としては、『異なる氏名・生年月日の複数の利用者が使用した本人確認書類に添付されている顔写真が同一』、『同じIPアドレスから複数の口座開設・利用者登録がされている』、『利用者の居住国が日本にもかかわらずログインされたのが日本国外である』などを挙げている。

仮想通貨がマネー・ローンダリングに悪用された事例としては、『不正に取得した他人名義のアカウントやクレジットカード情報等を利用して仮想通貨を購入後、海外の交換サイトを経由するなどして日本円に換金し、その代金を他人名義の口座に振り込んでいた事例』や『特殊詐欺の犯罪収益が振り込まれた銀行口座から現金を払い出し、ネッ ト銀行に開設された仮想通貨交換業者の口座に振り込み、仮想通貨を購入し、その後、複数のアカウントに移転させていた事例』があるとしている。


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