1月8日、中国のブロックチェーン・セキュリティ企業Peckshield(派盾)が発表した調査レポート「2019年のグローバル・デジタル資産におけるアンチマネーロンダリング研究報告」(「2019年全球数字資産反洗銭研究報告」)において、2019年にビットコインを通じて中国から海外に流れた資金総額は約114億ドル(約1.2兆円)と報告された。

同報告書によれば、ビットコインを通じて中国から海外へと流れた資金の推計は2017年に101億ドル(約1.1兆円)、2018年に179億ドル(約2兆円)、2019年が114億ドル(約1.2兆円)である。

中国政府と中国人民銀行は2017年9月上旬にICO(新規仮想通貨発行による資金調達)の禁止を発表し、同月内には中国国内の仮想通貨取引所に一斉に働きかけて人民元と仮想通貨取引の取扱いを中止させた。また、個人投資家に対しては仮想通貨投資をしないよう呼びかけて、海外の仮想通貨取引プラットフォームへの中国国内からのアクセスにも制限をかけるなどの対応を行っていた。そうした中でも、仮想通貨による資金流出は継続しているようだ。

なお、国際収支の中で中国の誤差脱漏は2017年が2,130億ドル(約23.2兆円)、2018年が1,602億ドル(約17.5兆円)、2019年1~9月が1,706億ドル(約18.7兆円)であり、資金流出に占めるビットコインの割合は2017年が5%、2018年が11%、2019年が5%という計算になる。ただし2019年に限定すると、月間の資金流出額はビットコイン価格の「年初安値、年央高値」と比較的歩調が揃っている。今後、中国からの資金流出が拡大すれば、ビットコイン市場に資金が流入し、ビットコイン価格がさらに上昇する可能性もある。

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