暗号資産(仮想通貨)の価値を探る方法として、「メトカーフの法則」とよばれる計算方法がある。メトカーフの法則とは、「ネットワーク通信の価値は、接続されているシステムのユーザ数の二乗(n2)に比例する」というものだ。電話やインターネットなどネットワークの価値は繋がるモノが多ければ多いほど価値が向上するという意味合いで、電話を例に挙げると、世界で2人しか使用していなければ、「1対1」の繋がりしかなくネットワーク価値は限定される。一方、世界中で電話を使用する人が多い状況となれば、「ユーザ数×ユーザ数」という計算式でネットワーク価値は膨れ上がる。

この法則にビットコイン(BTC)のユニークアドレス(取引活動があるアドレス)の数を用いてフェアバリューを計算した結果、1月下旬時点のビットコインのフェアバリューは7,929ドルとなった。足元、8,300ドル台で推移していることから、「メトカーフの法則」で算出されたフェアバリューから比較すると市場価格は妥当かやや割高の可能性もある。また、今後のシナリオも下記の通り計算している。(ユニークアドレスはBlockchain.com、ビットコイン価格はCoinMarketcapより)

〇2020年1月23日時点のユニークアドレス数をベースに、3つのシナリオで計算「Neutralシナリオ(年率10%増加)」「Upperシナリオ(年率30%増加)」「Underシナリオ(年率10%減少)」

「Neutralシナリオ(年率10%増加)」
・2020年予想・・・9,594 ドル
・2021年予想・・・11,609 ドル
・2022年予想・・・14,047 ドル

「Upperシナリオ(年率30%増加)」
・2020年予想・・・13,400 ドル
・2021年予想・・・22,646 ドル
・2022年予想・・・38,271 ドル

「Underシナリオ(年率10%減少)」
・2020年予想・・・6,422 ドル
・2021年予想・・・5,202 ドル
・2022年予想・・・4,214 ドル

一方、ユニークアドレスの推移を確認すると、2017年12月をピーク(100万件)に40万件から60万件水準での横ばいとなっている。今年6月頃、70万件水準まで増加した後、40万件から50万件と伸び悩んでいるが、右肩下がりのような動きは見られない。市場ではビットコインのショートポジションが増加するなど悲観的な見方が多いものの、足元のユニークアドレスが横ばい推移となっていることから一段安は回避できるとの見方もできよう。

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