ビットコイン(BTC)はオープンソースソフトウェアであり、開発者は誰でもビットコインのソフトウェア開発に参加することができる。必要なソースコードはすべてGitHubというプラットフォームに公開されており、これまでにも不特定多数の意志ある個人やチームがプロジェクトに貢献してきた。このため、開発費用を直接的に求めることは現状では困難である。

ただし、ビットコインなどの仮想通貨の開発に組織立って取り組むチームも急増しており、資金調達を繰り返して組織を成長させてきた。一例を挙げると、ビットコイン開発大手の米Blockstream社や米Lightning Labsなどはビットコイン技術の決済処理能力などを高める技術実装等において貢献しながら資金調達に成功してきたし、仮想通貨決済などのサービスを提供する米Circle社はゴールドマンサックスなどから多額の資金調達をしている。

そこで、こうした第三者からの投資を開発費用の代替変数と考えてみたい。ベンチャーキャピタル投資の全米統計Pitch Bookによれば、2014~2018年のベンチャーキャピタルによる仮想通貨、ブロックチェーン関連事業への投資総額は83億ドル(約9,100億円)だった。このうち、2017年の投資額10億ドル(約1,100億円)に対して2018年の投資額は55億ドル(約6,000億円)を超えている。投資額には種々の数値があるようだが、2018年のブロックチェーン関連事業への投資が前年比で大幅に増加した事は、他の統計にも共通している。開発簿価が仮想通貨の価値を形成する要因と見るのであれば、2017年末時点よりも2018年末時点の方が仮想通貨全体の価値は増加していたと考えられる。

VCによる投資額の動向は、引き続き注目していきたい。一方で、ブロックチェーンを取り入れた分散型アプリケーション(DApps)市場は2019年に拡大したというレポートも出ている(DApps.comより)。同レポートによれば、ビットコインやイーサリアム(ETH)などの主要ブロックチェーン9種類のネイティブトークンを使用したDAppsの取引量は2018年から58.5%増加して、2019年に100億ドル(約1.1兆円)に達した。また、2019年のDAppsのアクティブユーザーは312万人で、2018年の149万人から約2倍になったと報告している。2020年は、仮想通貨やブロックチェーンのユースケースが広がりを見せるか、また事業への投資増加へとつながるのかという点も注目だ。

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