警察庁は5日、犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和元年)を公表した。同資料では、2019年度中に特定の事業者から届け出られたマネー・ロンダリング(資金洗浄)などの疑わしい取引の件数は44万492件と、前年から2万3,027件増え、過去最多を更新したことが明らかとなった。

マネー・ロンダリング事犯の検挙事件数も537件と過去最多となった。届出事業者を業態別にみると、銀行等が34万4,523件で届出件数全体の78.2%と最も多く、次いでクレジットカード事業者(2万4,691件、5.6%)、信用金庫・信用協同組合(1万9,487件、4.4%)の順となったようだ。

暗号資産(仮想通貨)交換業者からの届出件数は5,996件で全体の1.4%と、前年(7,096件)から1,100件減少した。

警察庁は、「国境を越えて敢行されるマネー・ロンダリングやテロ資金供与を防止するためには、各国が連携して対策を講じることが不可欠である」として、「FATF(金融活動作業部会)、APG(アジア・太平洋マネー・ロンダリング対策グループ)、エグモント・グループ等の枠組みの下、マネー・ロンダリング対策等の国際的基準の策定、普及等が行われており、我が国もこれらの活動に積極的に参画している」と説明している。

マネー・ロンダリング対策が求められるなか、日経新聞によれば、日本の対策状況について、FATFが2019年に実地審査し、結果を今夏に公表するとみられている。


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