ドナルド・トランプ氏の2024年大統領選勝利が報じられた後、仮想通貨市場は急騰しビットコインは過去最高値を更新するなど、業界全体が活況となっています。

この背景にはトランプ氏が選挙運動中に示した仮想通貨への支持姿勢や、カンファレンスでの発言などが挙げられます。同氏は米政府が差し押さえた巨額のビットコインの売却を行わない方針やSEC委員長ゲーリー・ゲンスラー氏の解任を示唆してきました。

ハードウェアウォレット大手Ledgerのバイスプレジデント兼ポリシー責任者であるセス・ハートレイン氏は、CNBCのインタビューに応じ、市場の反応と今後の展望を詳細に語りました。

ハートレイン氏は、選挙日におけるビットコインの過去最高値更新は「政策と市場の密接な関係性を示す象徴的な出来事」だと指摘。トランプ氏周辺には、J.D.ヴァンス氏やピーター・ティール氏など、仮想通貨に理解のある人物が多く、新政権は業界にとって追い風となる可能性が高いと分析しました。

また、今回の選挙は「初の仮想通貨選挙」でもあったと同氏は表現。業界の政治活動委員会(PAC)の寄付金は2億4500万ドルを超え、米大手取引所Coinbaseが主導した「Stand With Crypto」などの草の根運動が、仮想通貨支持派の候補者の勝利に大きく貢献したと評価しました。特にオハイオ州の上院議員選のケースは「ワシントンD.C.への力強いメッセージだ」と同氏は強調しています。

オハイオ州、仮想通貨支持の候補者が現職破る

今回の選挙では、一部で仮想通貨業界の政治への影響力が顕著に表れました。共和党のバーニー・モレノ氏が長年の現職である民主党上院議員シェロッド・ブラウン氏を破り、オハイオ州上院選挙で勝利を収めたことはその象徴的な出来事と言えます。

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この選挙は2007年以来上院議員を務めてきており、仮想通貨に否定的な姿勢を示すブラウン氏に、ブロックチェーン関連企業を2018年に立ち上げた経験を持つモレノ氏が挑む構図に。4億4100万ドルを超える選挙広告費用が両者合計で投じられました。

これは大統領選以外の選挙としては史上最高額規模とされ、モレノ氏が2億3300万ドル、ブラウン氏が2億800万ドルを費やしたことが報告されています。

仮想通貨業界団体Fairshake傘下のPACはモレノ氏支援に4,000万ドル以上を寄付。寄付資金を除くと選挙広告費用はブラウン氏の方が上回っていることから業界団体の影響が窺えます。

最新の開票結果によると、現在米国では仮想通貨支持派の政治家が勢力を増しており、下院では仮想通貨支持の候補者258名が当選し反対派の数を大きく上回っています。また、上院においても支持派が17名、反対派が12名となっています

Ledger幹部、規制整備に期待

Ledgerのハートレイン氏は今後の規制環境について、政権交代に伴う人事異動が大きな変化をもたらすと予測。SECやCFTCといった主要規制機関のトップの交代は「市場の雰囲気を一変させる可能性がある」と述べ、これが機関投資家の参入を後押しする重要なシグナルになるとの見方を示しました。

ステーブルコインの規制と仮想通貨取引所の規制を含む市場構造的な整備が次期議会における最優先事項となると同氏は予想し、これらの分野は前議会でも一定の進展が見られたことから実現可能性が高いと分析しています。

Ledgerの事業においては、機関投資家向けセキュリティソリューションの需要拡大が見込まれることに加え、個人投資家の間でもセルフカストディー型ウォレットのニーズが高まっているとハートレイン氏は指摘します。トランプ政権下では規制の明確化と市場の成長により仮想通貨への関心はさらに高まり、セルフカストディー型での資産管理の重要性に対する認識も深まるとの見解が持たれています。

記事ソース:CNBC

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