欧州の国スロベニアで、個人の暗号資産(仮想通貨)取引に対する新たな課税の枠組みが提案されました。同国の財務省は、暗号資産の取引によって得られた利益に対して一律25%の税金を課す法案を公表し、パブリックコメント(意見公募)を開始しました。この法案は、議会の承認を経て2026年1月1日からの施行を目指しています。
スロベニアではこれまで、事業として行われる暗号資産取引の利益には課税されていましたが、個人の投資による売却益などは非課税とされており、税制上の「抜け穴」と見なされていました。今回の法案は、この状況を是正し、他の金融資産と同様に暗号資産にも課税することで、税の公平性を確保することを主な目的としています。
一方で、この法案の注目すべき点は、課税対象とならない取引も明記されていることです。例えば、ビットコインをイーサリアムに交換するような、暗号資産同士の交換取引については、「処分」に該当せず非課税とされています。また、同一人物が保有する異なるウォレット間での暗号資産の移転も課税対象外です。
日本の暗号資産税制との比較
このスロベニアの提案は、日本の現行の暗号資産税制と比較すると、いくつかの点で対照的です。日本では現在、個人の暗号資産取引による利益は、原則として「雑所得」として扱われ、給与所得など他の所得と合算して税額を計算する総合課税の対象となります。
税率は所得額に応じて変動する累進課税であり、住民税と合わせると最大で55%という高い税率が適用される可能性があります。これはスロベニア案の一律25%と比べて大幅に重い負担です。さらに、日本では暗号資産同士を交換した場合でも、その時点で利益が確定したとみなされ課税対象となりますが、スロベニア案では非課税とされている点が大きな違いです。
また、日本では暗号資産取引で損失が生じても、その損失を他の所得と相殺(損益通算)したり、翌年以降に繰り越して利益から控除したりすることは、現状では認められていません。
日本政府も近年、暗号資産税制の見直しに向けた議論を進めており、税率20%の申告分離課税への変更や損失の繰越控除導入などが検討課題となっています
スロベニアの新たな提案は、シンプルで比較的低い税率を特徴としており、日本の税制とは異なるアプローチを示しています。各国が暗号資産に対する税制整備を模索する中、今後の国際的な動向や日本の税制改正の行方が、投資家にとってますます重要になっています。
情報ソース:Gov
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