国際的な政府間機関である金融活動作業部会(FATF)は今週公表した報告書で、世界の暗号資産に対する規制は進展しているものの依然として深刻な抜け穴が存在し特に2025年に入ってステーブルコインの不正利用が急増していると強い警鐘を鳴らしました。
FATFによると、調査対象となった国の73%が暗号資産の送金ルールである「トラベル・ルール」を法制化しています。しかし、そのうち約6割の国では法執行や監督が追いついておらず規制が形骸化している実態が明らかになりました。FATFが定める暗号資産の監督に関する勧告に「完全準拠」している国はわずか1カ国にとどまっています。
また、報告書はこうした規制の遅れが深刻な犯罪を助長していると指摘。具体例として、2025年に北朝鮮のハッカー集団が暗号資産取引所Bybitから14億6000万ドルを盗み出した記録的な事件を挙げました。盗難資金はミキサーやOTC取引、12万5000以上ものウォレットを使った複雑な手口で洗浄され回収できたのはわずか3.8%でした。
特に低コストで決済が速いステーブルコインは、今や不正なオンチェーン活動の主要な手段となっています。FATFはAIチャットボットやディープフェイクを利用した「豚の屠殺」詐欺のような巧妙な詐欺が急増していることにも言及しました。
これを受けFATFは各国に対して仮想資産サービスプロバイダー(VASP)のライセンス登録の加速、未登録業者への取締り強化、そして分散型金融(DeFi)の監視体制の構築を強く要請しています。
情報ソース:FATF
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