以下は、フィスコ客員アナリストの大石哲之(「ビットコイン研究所)」代表、ツイッター@bigstonebtc)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

----
※2019年4月12日に執筆

4月8日週のビットコイン(BTC)は56.4~60.9万円で推移している。11日早朝には一時60.8万円をつけて昨年11月19日以来約5カ月ぶりに60万円台を回復したものの、利益確定売りからすぐに58万円まで下落。午前9時頃には下落分の半値戻しに相当する59.4万円あたりまで値を戻したものの、その後は下落が続いた。アルトコイン全般が弱含むなか、ビットコインは相対的に底堅さをみせている。

今週は、マイニング分野で2つの注目すべきニュースがあった。

ひとつは、野田俊也氏と、橋本欣典氏によるマイニングに関する経済学の論文だ。従来の通説では、マイナーは仮想通貨の価値が上がると参入が増え、また保有しているAISC等のマイニング機材の資産の価値も上がると考えられていた。

これに対してこの論文では、直感に反して、マイナーは仮想通貨の価格が上下(ボラティリティが高い)ほうが収益機会が高まるとしている。

論文の概略は、マイニング機材の現在価値を、一定価格でコインを取得できる権利と捉え、コールオプションとして定量化する。コールオプションは一定の条件で価値が算出できるため、その価値を算出することで、ASICの現在価値を考えたというものである。独創的なアプーロチであり、今後もこのような研究が続くことを期待したい。

もうひとつは、中国が国内のビットコイン・マイニングを禁止するという噂だ。これに関しては過去にも同じ噂が立ったことが何度かあるものの、実現には至っていない。実際に政府がマイニングを禁止したとしても、実効性は不明だ。

また、中国国内の電気代は必ずしも競争力があるわけでもなく、ビットコインの価格低迷にともない、多くのマイナーが廃業するか、海外に移転した。よって、中国が本当にマイニングを禁止したとしても、致命的な悪材料にはならないだろう。市場のほうも殆どニュースに反応していない。

---

執筆者名:大石哲之
ブログ名:ビットコイン研究所

<SI>