日本マイクロソフトは25日、東日本旅客鉄道<9020>、JR 東日本情報システム、みずほフィナンシャルグループ<8411>のみずほ情報総研と協力し、企業の垣根を越えた新たな社会インフラの構築を目的に、ブロックチェーンを活用した実証実験を実施したと発表した。

今回の実証実験は、2019年1月21日から2月8日までの期間に実施し、顧客が検索から予約、支払いまでを一度に行うことができ、かつ移動に関わる周辺サービスも利用できるテスト基盤を構築したという。同社は、「旅行者がいつ、どの交通機関を利用したか」などの個人データの改ざんと漏洩を防止し、金融機関と接続して行う支払いの透明性を担保するために、ブロックチェーンを活用したとしている。

同社はテスト構築したシステムの特長について、「利用者の利用履歴の透過性と秘匿性」と「容易で安価な事業参入」を挙げている。

この特長については、「利用者の移動履歴はすべての参入事業者が検証可能であるが、それによって特定の個人の行動履歴が予測できてしまうことのないようハッシュ化された状態で保存されている」、「新規事業参入のために特殊な機材を購入したりアプリケーションを作成することなく、コンソーシアム型のブロックチェーンネットワークに参加することができる」、「チケットを読み取るためのアプリケーションはスマートフォンでも動作可能であるため、初期の導入コストを低く抑えられる」と説明している。

社会インフラ基盤には、格納されているデータに対する高い信頼性とともに、スケーラビリティ(拡張可能性)や柔軟なインテグレーション特性、高い管理性などが要求されるが、同実証実験により、これらの要求に応える基盤を「Microsoft Azure」上にテスト構築し、その有用性を確認できたとしている。同社はこの検証結果を踏まえ、例えば将来の MaaS(Mobility as a Service)における有効活用等を検討したいと述べている。

今後について、同社は「スマートシティの実現に向けた取り組みを推進するとともに、ICT による新たなプラットフォームを模索することで、すべての人に安全で持続可能かつ容易に利用できる社会インフラの実現を目指していく」との意向を示している。


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