米国の投資運用ファンドの研究責任者で投資アナリストを兼任するトム・リー氏は、フェイスブック社から発表された仮想通貨リブラ(Libra)について、仮想通貨市場にとって前向きな動きであると捉え、強気相場にあるビットコインは今後「余裕で最高価格を更新する」とCNBCの投資番組でCNBCの投資番組にて言及した。

米国発の4大大手IT企業GAFAの一角にあるフェイスブック社が、独自の仮想通貨を公表した事は、「主流企業が仮想通貨にも着目していることを完全に裏付ける事例」として、業界外からの認識に変化が生じるポイントになると、高く評価した。

これまで、マイクロソフトやIBMなど多数の大手企業が『ビットコイン』ではなく『ブロックチェーン技術』を高く評価してきたが、今回の発表によって、『仮想通貨』を直接的に評価する事例となり、リブラを通して仮想通貨にも興味を示すユーザーが大きく増加する可能性があると言及した。

Facebookの利用者は、世界に数十億人規模で存在しており、仮想通貨の障壁となり得るウォレットなどの懸念点が払拭される可能性は他のアナリストなどからも指摘されている。

また、リー氏は仮想通貨リブラが構造的に「新たな銀行システムを築くステーブルコイン」だと説明しており、カテゴリー的には分散型金融(Decentralized Finance、通称DeFi)に入ると述べた。

「ビットコインとは相補的であるため、ビットコインにとっては良い動きだ。」

このような見方でリブラを捉える専門家は少なくない。

米国の投資ファンドBKCM社のCEOであるブライアン・ケリー氏もリブラはステーブルコインであることに対して、ビットコインはデジタル・ゴールドであると利用ケースの違いを説明。リー氏はビットコインとリブラが競合関係ではなく、お互いに補う関係にあると解説した。

既存ステーブルコインとの差別化
また、リー氏は今回発表されたリブラが既存のステーブルコインに与える影響は少ないと述べた。その要因として多くの通貨が何かしらの資産にペッグ(担保)されているからだと説明しながらも、ユーザーからの人気を得てネットワーク効果を発揮することがステーブルコイン銘柄の普及につながると語った。

その一例として時価総額上位で未だに高い利用率を維持するステーブルコインのテザーを挙げ、「今後、一番利用される通貨(ステーブルコイン)が成長する」だろうと言及。「リブラもいずれ主要なステーブルコインになる」と自身の見解を示した。

参画企業の傾向
リー氏はフェイスブック社が新たなに設立した非営利団体「リブラ協会」(Libra Association)に参加している企業の傾向についても話題として触れた。参画メンバーには、マスターカードやビザ、イーベイ(eBay)、ペイパルなどを含む29社、また送金業者や投資ファンド、取引所などの企業が名を連ねている。

リー氏は「リブラ協会に参画を表明している企業の中に銀行がない」理由としてリブラが実質的に目指す「銀行の分散化」が銀行にはメリットをもたらさない点を指摘、以下のように述べている。

「銀行の分散化のメリットは銀行よりも、送金プロセッサーが受けるものだ。フェイスブックの1ユーザー当たりの平均収入は50ドルだが、銀行における平均収入は1000ドル。つまりフェイスブック社は銀行業に参入することで最大20倍の収入増が期待できる。」

(記事提供:コインポスト)
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