ニューヨーク証券取引所NYSEの親企業ICEが設立した仮想通貨エコシステムBakktは23日、ユーザー受け入れ・ビットコイン現物先渡し先物取引ののテスト(UAT)を正式に開始した。

規制基準への準拠など、複合的な理由で先物提供の延期が強いられていたBakktは、会社設立の2018年8月より、11ヶ月後に先物テストの開始に至った。今回の声明文では、「テストの参加者は世界各地からだ。」と説明しており、一定規模の先物テストが行われることが予想される。

規制に準拠したBakktはビットコイン現物の保管、顧客資産に対する保険など機関投資家レベルのインフラを提供することから、機関投資家(関連事業者、マイナーなども)が主要ターゲットになると考えられる。同デリバティブの誕生で、業界におけるヘッジ手段の多様化に大きく前進することになる。

なお、Bakktが提供を予定する先物取引は、現物先渡しの先物取引として提供され(毎日決済と隔月決済)、毎日決済では現物取引を間接的に提供することになるため、CMEの現金決済ビットコイン先物取引の仕組みとは大きく異なる。

先物の契約内容
ビットコイン先物の契約詳細についても改めて発表が行われた。

• 米ドルで取引される
• ロット数: 1BTC
• 最終取引時間A:日間契約 、EST 6:00pm
• 最終取引時間B:月間契約、毎月の第三水曜日

また、BakktのCOOを務めるAdam White氏(Coinbaseの元役員)はBakktのUAT開始に際し、Bakktの3つの事業方針へのフォーカスについても再度強調した。

・CFTCの規制、AML/KYCを満たした先物の提供
(ビットコイン先物の提供は、今後30カ国以上に拡大する方針)
・コンプライアンス重視で、定期的に財務とセキュリティー監査を受ける
・スターバックスなどの著名小売業者と提携し、仮想通貨の決済を可能に(事業商談進行中)

Bakktは、この3つの方針を持ち、「セキュアな技術をもとに、規制を遵守した仮想通貨エコシステムを機関投資家・マーチャント・消費者に提供すること」を目指している。

米市場分析企業Fundstrat社のアナリストSam Doctor氏は19日、Bakkt側が開催した初の「Bakkt Institutional Digital Asset Summit」の参加レポートを公開。 Bakktは、ビットコインの先物を、今回の四半期(米Q3:7月〜9月)に正式にローンチする見込みで、本日開始した先物テストに続く流れであることが明らかになっている。

なぜBakktの先物が仮想通貨業界に期待されているのか、下記の理由が考えられる。

• 『ICE先物』のプラットフォームで取引が行われる点(金融投資家の利用につながる)
• 日間・月間現物先渡し先物取引を提供するため、実質的なBTC現物取引が行われる
• CFTCと州の規制に準拠した、透明性の高いBTC金融商品が取引される
• 第二段階以降に控える、ビットコインの消費決済へ一歩進む(スタバなどと協業)
BakktのUAT進捗がどのようになっていくか、Bakktによる定期報告が期待されるだろう。

(記事提供:コインポスト)
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