オリックス<8591>と国立大学法人東京大学大学院工学系研究科は2日、ブロックチェーン技術を活用した電力の供給から消費までの履歴を証明するトラッキングシステムについて、共同で研究を開始したと発表した。

両社はブロックチェーンを活用し、電力取引データやGPS情報を基に、再生可能エネルギー由来の電力の発電地や電源種別、発電時間、供給者といった電力の産地を証明するトラッキングシステムの実証実験を行うとしている。また、太陽光発電所や一般家庭などの複数の電源と、事業所や工場、電気自動車などの複数の消費地との「分散型ネットワーク」の同時同量(供給量と需要量を30分間の総量で常に一致させておくこと)マッチングの検証にも取り組むという。

複数の発電地と消費地の地理的な電力の輸送距離を最小化するシステム「REマイレージ」の開発を行うことで、再生可能エネルギーの地産地消を促すほか、送電時のロスを軽減し電力の効率利用につなげるねらいとしている。

オリックスは再生可能エネルギーによる発電事業開発を積極的に展開しており、全国に分散型エネルギーネットワークに資する電力供給施設を運営している。また、東京大学はブロックチェーン技術などを活用した電力流通システムの研究をもとに、再生可能エネルギー導入を促進する新たな電力流通サービス開発基盤を研究しており、今回の共同研究にいたったようだ。

将来的には、電気自動車によるDR(デマンドレスポンス:需要家側が需要量を変動させて同時同量にすること)、VPP(バーチャルパワープラント:小規模な発電所をIoTで制御して束ね、一つの仮想発電所のように機能させること)を含めた総合的な電力ネットワークの開発や、自治体の災害時システムと連携することで、電気自動車を被災地での緊急電源に利用するといった社会システムへの応用も目指していくとの方針を示している。


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