大手暗号資産取引所のBinance(バイナンス)は30日、IEO銘柄を含む取引ペア30組の取り扱いを廃止したことを発表しました。

今回取り扱い中止が決定したのは、以下の30ペアです。

ANKR/PAX, ANKR/TUSD, ANKR/USDC, BCPT/PAX, BCPT/TUSD, BCPT/USDC, BTT/BTC, DENT/BTC, DOGE/PAX, DOGE/USDC, ERD/PAX, ERD/USDC, FTM/PAX, FTM/TUSD, FUEL/ETH, GTO/PAX, GTO/TUSD, GTO/USDC, LUN/ETH, NCASH/BNB, NPXS/BTC, ONE/PAX, ONE/TUSD, PHB/PAX, PHB/USDC, TFUEL/PAX, TFUEL/TUSD, TFUEL/USDC, WAVES/PAX, WIN/BTC

こうして見ると、(1)USDT以外のステーブルコイン(2)BTCおよびETHのペアがほとんどを占めています。バイナンスがIEOを通してローンチした銘柄のペアもリストに入っています。

今回、公式は取り扱い中止の理由を「流動性を改善するため」としていますが、こちらの記事ではこの意味を深く考察してみたいと思います。

30ペア廃止の「3つの理由」

今回取り扱い中止となる取引ペア一覧

今回廃止される取引ペアはどれも出来高や流動性の低さが理由ですが、これはさらに以下の3種類に細かく分けることができます。

ステーブルコイン建てペアをUSDTに集約する

今回廃止が決定した取引ペアのほとんどは、USDT以外のステーブルコインとのペアです。

バイナンスやその他多くの取引所は2018年あたりからステーブルコインの取り揃えに力を注いでいましたが、やはりUSDTの力がとても強く、新参ステーブルコインのペアは出来高が取れていないのが現実のようです。

例えば、ANKR/USDTの24時間出来高は70258.33USDCとなっていますが、今回廃止されるANKR/USDCはわずか159.47 USDCしかありません。

したがって廃止の意図は、あっても仕方のないステーブルコイン建てペアをUSDT市場に流し、注文板の厚さと出来高を増やしていくことだと考えられます(PHBに限り、TUSDに集約する形とみられます)。

出来高のないアルトコイン建てペアをなくす ただしBNBはキープ

同様に、出来高のないアルトコインペアも、BTCやステーブルコイン、その他アルトコインに流していく、という見方がおそらく妥当だと考えられます。

イーサリアムは価格の下落もひどく、ETH建てで取引する人もなかなかいないのが現状でしょう。

BNB建てペアの中にも出来高のないものはたくさんありますが、こちらは自社通貨としてなんとかキープしていく魂胆だと考えられます。

BTC価格が極端に低いペアをなくす

今回廃止されるBTC建てのペアはどれも1~9 satoshi (ビットコインの最小単元)の「超低単価通貨」です。

例えば、WIN/BTCの価格は1 satで、買い板の上が1 sat、売り板の下が2 sat、つまりスプレッドはまさかの100%という状況になっています。

WIN/BTC

こうなってくると、買い手は絶対に1 satで買いたい、売り手は2 sat以上で売りたいとなってくるわけで、どうしても取引が成立しなくなってしまいます。

したがって、バイナンスはこのように行き詰まったペアを除外して、USDT・アルト建ての市場に回す策をとったと考えられます。

通貨の上場廃止ではない

今回のニュースは、IEO銘柄が廃止ペアリストに含まれていたこともあり、「通貨自体の上場廃止」と誤解されているようです。

しかし、実際はそんなことはなく、あくまで出来高や流動性のない市場を、ある市場に統合しているだけなので、特に心配する必要はないと言えます。

これは、バイナンスCEOのChangpeng Zhao氏(通称CZ)も「上場廃止ではなくて、流動性の統合だ」と弁明しています。

参考記事: Binance

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