今回、大阪で10月8日から10月11日にかけて4日間開催されていたEthereumの「devcon 5」に参加しました。

貴重な機会をいただき、参加が決まったdevconですが、初めてのdevcon参加ということもあり、この4日間は非常に有意義な経験をすることができました。

本レポートの執筆時点ではdevcon5は既に終了していますが、devconの様子や参加したレポート、そして自分がイベントに参加して感じたことなどを共有したいと思います。

日本は、特にコミュニティが小さく閉鎖的なので、今回のような感想ベースのレポートであっても、みんなで業界のことを考えていけるネタになっていけたらと思います。

devcon 5の概要、様子

devconは毎年世界各国で開催される、Ethereumの開発者向け会議で、5回目となる今回は日本・大阪が会場となりました。

会場の入り口付近の様子。台風の接近で風がかなり強めでした

日本での開催ということもあり、他の参加者がTwitterなどで紹介されているように、和太鼓や盆踊りなどのパフォーマンス、昼食にも日本の料理やたこ焼きなどが用意されるなど、日本らしいセットアップの4日間になっていたのが印象的です。

一方で4日間を通してみると、会場で日本語の議論が行われていた光景を目にすることはなく、参加者の95%が外国の方で、常に英語が飛び交っているようなイメージでした。

セッションの中身もすべて英語で、開発者向けの高度な内容(rollupやewasmなど)からより抽象的なCode is Lawの議論など、Ethereumの範疇にとどまらずクリプト/ブロックチェーンに関わる多種多様なトピックのセッションが用意されていました。

参加していたプロジェクトを見ても、日本含め世界的に注目を集めているものばかりで、こういった人々から直接色々な話を聞けたのは振り返ってみても非常に大きな刺激になったと思います。

注目すべきいくつかの発表

今回の立ち回りとしては主にイベントに参加していた登壇者や、来ていた参加者とネットワーキングをする、もしくはセッションに参加するかのどちらかでした。

4日間のイベントだったので、多数のセッションに参加しました。その中の一部を紹介すると、下記になります。

下記だけを見ても、非常に注目すべき発表が沢山あることがわかると思います。

  • Unicef × Ethereum Foundationの仮想通貨ファンドが立ち上がる
  • MakerのMCD(Multi Collateral Dai / 複数資産担保型Dai)のローンチ日が来月の11月18日に決定
  • パーミッションレス型のリブラ『Open Libra』の発表
  • 2020年のdevcon 6、開催地にアルゼンチン・ブエノスアイレスが立候補(?)
  • Metamaskがプラグインβを発表
  • And many more…

印象に残った、面白かったセッション

Blockchain & The Law: Interfacing the Rule of Law and the Rule of Code

どのセッションも非常に面白かったのですが、今回はあまり日本のTwitter上ではシェアされておらず、かつ面白いと思ったものを紹介させていただきます。

本セッションは、主にスマートコントラクト(Blockchain Reality)と現実(Reality)をどう適用させていくのかといった論点でのパネルでした。

Blockchain Reality ⇔ Realityの構図を頭に入れたうえでディスカッションは展開されていきます。

Blockchain Realityというのは、ブロックチェーンのuntoppable(執行を止めることができない)という現実を指します。そして、これが現行の法律に適用できない場合どのようなフレームワークで整然とすることが可能か?という流れで話は進んでいきます。

ディスカッションでは、スマートコントラクト自体に契約を明示する要素というのは実は存在せず、スマコンは単純に双方のintention(意思)の根拠として扱うことができるという意見もありました。

そのため、Codeというのは新たな形の人間同士のインタラクションを執行するためのツールとしての位置付けとするほうが自然で、Code自体には法的な拘束力は存在しないと考えるのが妥当なようです。

また、潜在的なリスクについても触れています。

Realityにおいては例えば、「万引きは犯罪」といったようにある程度の法律を皆が知っているという前提がありますが、Blockchain Realityにおいては例えば「このトランザクションを執行すると犯罪に触れる可能性がある」という点をユーザーが判断できない、無知であることも十分に考えられます。

これはスマートコントラクトで今後登場してくるであろうCodeが必ずしも現存する整然としたフレームワークに則らない可能性があるからです。

僕個人としては、DeFiやこの先でてくるであろうプロトコルとのインタラクションに興味があったので、かなり考えさせられる内容で非常に面白いと感じました。

個人的に参加してみての感想

devconへの参加を通じて感じたことなど、個人的な感想も含め、いくつか紹介していきたいと思います。

もはやただの一プロジェクトではなくなっている

もはやムーブメントです。

ソーシャルメディアやethresearchなどのフォーラムでも何となくわかるのですが、会場に行くと改めて単純にバズワードとしてこの業界に携わっている人はほぼ見かけず、Open InternetやDecentralizationなど、様々な思想を共有する巨大なコミュニティがEthereumなんだと感じました。

Ethereum以外のプロジェクトもオープンソースでやっていますが、Ethereumは30万人以上の開発者がいると言われています。

さすがの数字ですが、オープンソースのカルチャーを体現したような雰囲気を肌で感じることができました。

地理的、言語的に孤立している

これは、外国を拠点とする様々なプロジェクトの方々とお話しした感想なのですが、日本や韓国はいわゆる英語圏に入り込めておらず、情報がすごく閉鎖的であるという事実を改めて実感しました。

devconの参加者の大多数が外国の方だったので、必然的に彼らとお話しをする機会があったわけですが、日本の話をすると必ずと言っていいほど興味を持ってくれます。

これは日本人としては非常にありがたい(こちらの話をするだけで盛り上がるので)ことなのですが、同時にそこにフィットするプレイヤーが圧倒的に不足している結果として、このような自体が起きているという側面でもあります。

クリプト業界の課題の一つだと思います。

トレンドの移り変わり

僕自身もメディアの人間としてdevconに参加して、ビジネスの話をする機会などもたくさんありましたが、1~2年前までの知名度を上げるための協力の方法を模索するといったテーマから少しまた動きがあるように肌で感じました。

具体的に、プロジェクトが実例を作ること、プロダクトを届けることにより力を入れ始めているなといったイメージです。

また、メディアとしてもこのトレンドの移り変わりを非常に意識し、今後どういう立ち回りをすることが最適なのかということを非常に考えさせられた4日間でもありました。

まとめ

Dogeコインで有名な柴犬が屋外ステージに登場

今回のdevconは言わずもがな、大きな刺激にはなりましたが同時に危機感を覚え、我々CRYPTO TIMESとしても目指すべきところはどこなのか?という点や軌道修正を改めて、考え直すべきなのではと考えさせられるような濃い4日間となりました。

テーマは日本です。自分が世界の大きなコミュニティの中でどのように価値を出すか、という点を考えた際至った結論が『日本のネイティブであり、日本人であること』でした。

日本のプロジェクトが海外に貢献する形でフィットしていく中で、国内のことを国内向けに発信するだけではなくワールドワイドなコミュニティに貢献がしたいと本気で思いました。

日本という閉鎖的な環境を英語圏、世界中にフィットさせていけるような1年にしていけたらと思います。

Hopefully, see you all in next devcon 6!

また来年のdevconにも参加できるよう頑張ろうと思えた4日間でした。

The post devcon5に参加して感じたブロックチェーンの未来【後日レポート】 appeared first on CRYPTO TIMES