以下は、フィスコ・マーケットレポーターのタマラ・ソイキナ(ツイッター@ crypto_russia)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。このインタビューは最近世界的に注目を集めている音声SNSのクラブハウスで公開インタビューとして、CRYPTOTIMES編集長の新井進吾氏と共同で実施されました。

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※2021年2月26日に執筆

数多くのブロックチェーンプロジェクトが生まれる中、日本からグローバルで存在感のあるブロックチェーンプロジェクトが生まれた事例はほとんどありません。今回は、日本発のPolkadotベースのパブリックブロックチェーンPlasmを開発するStake TechnologiesのCEO、渡辺創太氏にお話を聞く機会をいただきました。


タマラ(以下、タ)「こんにちは。あらためてPlasm Network(以下、Plasm)について簡単に紹介をお願いします。」
渡辺(以下、渡)「今日は宜しくお願いします。Stake Technologies代表の渡辺創太です。会社として日本初のパブリックブロックチェーンとなるPlasmというものを作っています。パブリックブロックチェーンの大きな課題としてスケーラビリティとインターオペラビリティの問題がありまして、Plasmはそれらを解決するプロダクトとして作られているものです。今時価総額は4位であるPolkadotというエコシステムの中にいて、ここに接続しに行く日本初のパブリックブロックチェーンです。」


タ「今日は大きな発表がありましたね。詳しく教えてください。」
渡「本日、世界最大級の暗号資産取引所であるBinanceをリード投資家として約2.5億円の資金調達を実施したと発表しました。他に、LongHash Ventures、HashKey、PAKA Venturesなど参加の上、資金調達出来ました。」


タ「チームについてあまりメディアなどで知る機会が少ないと思います。チームメンバーや体制について教えてください。」
渡「今全部で10人ぐらいいます。日本人は50%ぐらいでして、それ以外は韓国や中国にいるエンジニアや、群馬県にいるロシア人のエンジニア、ベルリンなどにチームがいます。元々グローバルでやっていきたいと思っていましたので、今はこういう時期でもあり、オフィスはあるのですが、みんな行きたくないので(笑)リモートでやっています。」


新井(以下、新)「Polkadotに接続するためにはDOTトークンによるオークションに参加し競争に勝たなければなりませんが、オークションに勝つ戦略、施策はありますか?」
渡「少なくとも3点あります。一つ目は、我々はコミュニティドリブンのプロジェクトを作り、最終的にDAOを作りたいので、他のプロジェクトに比べてコミュニティに割り当てるトークンの量が多いです。例えば、コミュニティへのトークン割り当てはAcalaは32~35%、Moonbeamは15%であるのに対して、Plasmは60%です。
二つ目は、まだ公開してないのですが向こう1、2ヶ月でまた同じぐらいの規模の資金調達があります。
三つ目は、Plasm Network Portalを作ります。PLMトークンホルダーが技術を全くわかってなくても、簡単に操作できるプロダクトのことです。3月中にリリースされます。
またPlasmの一番すごいところは、弊社のCTOが考えた『Dappsステーキング』です。PlasmでDappsを開発するとトークンを貰い続けられるプログラムも2月中に公開されます。」


新「アプリケーションは既に募集していますか?」
渡「はい。最近Polkadotが伸びていて、みんなPolkadotやPlasmの名前を使いたいみたいで笑 応募がかなり増えています」


タ「BinanceによるPolkadotエコシステムのプロジェクトへの投資は今回が初ということですが、これによってどのような展開が期待されますか。」
渡「Binanceが去年12月にPolkadotエコシステム用にファンドを作り、そこから一番最初に出資して頂いたというステータスになります。Polkadotのエコシステムには100以上のプロジェクトがあると思いますが、その中で最初に評価して頂いたのは大変有難いです。
Polkadotに接続する際、DOTを集めないといけないのですが、DOTを一番持っているのはBinanceだと思いますので、Binanceユーザーがオークションに直接入れる仕組みを作りたいなと思っています。
また今回Binanceとブリッジを作ることを視野に入れています。Polkadotは異なるブロックチェーンを繋げるブロックチェーンなんですけれども、バイナンススマートチェーンをPolkadotにPlasmを経由して繋げようとしています。」


タ「Pokadot、Plasmは、Ethereumや他のブロックチェーンと比較して後発ですが、その分必要な機能やニーズ、課題をよく踏まえて迅速に、効率的にエコシステムを構築していると感じます。次にPlasmが目指す大きなマイルストーンは何ですか?」
渡「Ethereumはリスペクトしていますが、今は限界があるなと感じています。例えば、最近トランザクションを送る時に手数料は10ドル、20ドルかかったりすることがあります。Eth2.0を待てないプロジェクトがたくさん出てくると思います。例えば、知られてないですがCompoundはSubstrateというPolkadotの技術系の独自チェーンを作っているGitHubレポジトリーがあったり、将来的にPolkadotに入ってくる可能性もなくはないと思います。」

新「Polkadotエコシステムのプロジェクトは皆パラチェーンになることを考えているのかな?と考えてたんですが、そうではなくスマートコントラクトを持ったPlasmのようなプロジェクトの上にアプリケーションレイヤーとして乗っかるみたいな選択肢もありなんですか?」
渡「アプリケーション開発者からすると、パラチェーンをゼロから作るか、パラチェーン上にアプリケーションを作るという2つの選択肢があります。Polkadotに接続されたブロックチェーン上にアプリケーションを作る人はこれからも多く出てきそうですが、将来的に作れるパラチェーンの本数は決まっていて、パラチェーンの方は時間がかかって開発が難しいので、我々はパラチェーンを選びました。」


タ「最後に日本コミュニティに向け、メッセージを頂けますか?」
渡「Polkadotは時価総額も大きく世界的に有名ですが、実は現在はBetaバージョンです。2021年は本格的に色んなチェーンが繋がっていきますが、Plasmはそこで1,2番目に早く繋げられるように目指しているところです。テストネットは一番最初に繋げたので、次はKusamaとPolkadotに繋ぎにいくという大事なマイルストーンがあります。まだEthereumなどに比べて規模小さいのですが、Web3実現のために大事なプロジェクトであると考えていて、日本発のプロジェクトとしてしっかり実績を残していきたいと思っています。」

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