米国を中心に金融市場が新たな局面を迎える中、暗号資産であるビットコインに対する注目が再び高まっています。
30年以上のウォール街での経験を持つマクロ投資家ジョルディ・ヴィサー氏は、現在の状況を将来的にビットコインが金融システムにおいてより中心的な役割を担っていく時代の始まりと捉え、その背景にある構造的な変化を指摘しています。
金融秩序の大きな転換期
ヴィサー氏は現在の世界的な金融秩序が大きな転換点を迎えていると分析。第二次世界大戦後、英国ポンドに代わり米ドルが世界の基軸通貨となりましたが1971年の金本位制離脱以降、そのシステムは不安定さを増しているといいます。ヴィサー氏は現在の米ドル基軸通貨体制が限界に近づいている可能性を示唆しました。
なぜビットコインなのか?信頼と技術の進化
現在の基軸通貨である米ドルに対して世界的な信頼が揺らいでいるとの指摘がなされています。
ヴィサー氏は「今、中国と米国は世界最大の経済大国であり誰もが米ドルがいかに弱いかを話しています。中国人民元は今年、米ドルに対する力を強めているとは言えずそれは人民元も弱いことを意味します」とし、主要経済大国の通貨は問題を抱えていると指摘。さらに、米国は中国に対して約4700億ドルの貿易赤字を抱えており、欧州も中国に対して3000億ドル近い巨額の貿易赤字を抱えている現状を挙げながら「人民元は信頼性の問題から世界基軸通貨にはなれません」と続け、既存の通貨システムに代替案がない状況を説明しました。
ここでビットコインが登場します。ビットコインは特定の国家や中央銀行への信頼を必要としない分散型のシステムとして設計されています。ヴィサー氏は「世界各国の政府が基軸通貨の地位を信頼しておらず、代替となるものも存在しないのです。」と述べ、信頼の欠如とデジタル技術の進化がビットコインの必要性を高めていると強調しました。
マクロ経済とビットコイン、そして未来への展望
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターが現在の金融秩序の歴史的な変化に対して警鐘を鳴らすレポートを発表したことにも触れ、ヴィサー氏はその変化が必ずしも悲観的なものだけではないと述べました。「私は金融秩序が変わったことに同意しますしこれが残りの期間の資本の流れを変えると思います。これはAIからの競争のために起こると思っていたことです。」と述べ、技術革新が既存の産業構造を変え、新たな投資機会を生み出すとの見方を示しました。
ヴィサー氏は自身のポートフォリオについて「私の貯蓄のための保有資産の分散はビットコインに大きく偏っており、価格が現在変わっていないにもかかわらず年初よりも多くなっています。その理由は私がより多くのビットコインを購入したからです」と述べ、現在の市場環境においてビットコインへの強い確信を持っていることを明らかにしました。
ビットコインは単なる投機的な資産という側面だけでなく、世界的な金融秩序の変化、技術革新、そして地政学的な変動の中でその重要性を増しています。ヴィサー氏が指摘するように私たちは大きな転換点の入り口に立っているのかもしれません。今後のビットコインとそれを取り巻く環境の変化から目が離せません。
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