以下は、フィスコ客員アナリストの大石哲之(「ビットコイン研究所)」代表、ツイッター@bigstonebtc)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2020年4月6日に執筆

ビットコインキャッシュ(BCH)の半減期が間近になっている。今の所8日水曜日の20時ごろと推定されている。これによって起こるであろうこと、注意点について述べたい。

i. 当日の仕掛け
まず、半減期当日には、材料をてがかりにした仕掛けがある。基本的には騙し上げになり、その後急落するパターンになる。半減期といってもそれを境に直ぐに価格が上昇したケースはなく、4年前のビットコイン、昨年のライトコインの動向をみても、半減期後はむしろ値段を下げていることもある。半減期=価格上昇という連想からの当日の仕掛けには中止すべきである。

ii. ハッシュレートの低下
BCHの採掘量が半分になるわけなので、マイニングの収益性も半分になってしまう。同じマイニングマシンで掘ることのできるBTCにハッシュパワーを割当なおせば、収益性は2倍である(まだ半減期をむかえてないため)。このため合理的に考えれば、マイナーの大半がBTCにハッシュパワーを移動させるだろう。中には政治的な理由でBCHを掘り続けるマイナーもいるであるが、過去のマイナーの行動をみると、大多数が経済合理的に動くとみられている。

iii. ネットワークの遅延
ハッシュレート低下の結果、一時的なネットワーク遅延には注意したい。この間にアービトラージなど取引所への送金・引き出しを伴うトレードを計画しているひとは、予想できない遅延を織り込んでおくこと。BCHの場合は、短期間で難易度を調整する機構があるため、遅延は長期化しないと考えられるが、注意するにこしたことはない。

iv. セキュリティの低下
ハッシュレートが低くなればそれだけBCHのセキュリティの低下がみられる。遅延とあいまって、ネットワークを攻撃するには良いタイミングになる可能性もある。BCHのハッシュレートは現在のところBTCの3%程度で、これが半分の1.5%程度になると、攻撃の現実味は増してくる。

v. ハッシュレート低下後は?
収益分岐点を割ったマイナーが離脱すると、難易度調整をへて、再び収益性が均衡するまでマイナーの換金売りと離脱はつづく。その均衡点がどこになるかは一概には言えないが単純に考えれば半数の離脱というところになるだろう。

いずれにしても、半減期当日の騙し上げ、その後しばらくの低迷というのが基本シナリオである。BTCとは事情がちがうため、安易に半減期というキーワードを手がかりにした買いはさけたほうがよさそうだ。

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執筆者名:大石哲之(Tetsu ‘BIGSTONE’ OISHI)
ブログ名:ビットコイン研究所

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