世界最大手の仮想通貨取引所Binance(バイナンス)が準備金証明システムを、マークルツリー(データを要約・検証するためのデータ構造)とゼロ知識証明を活用した技術zk-SNARKsを組み合わせてアップグレードし、ユーザーにバイナンスの準備金の状態を検証するプライベートで安全な方法を提供できるようになったと発表しました。
昨年、FTXの経営破綻などが発生し取引所への懸念が高まるなか、バイナンスは取引所の準備金に関する透明性を従来以上に高めるための施策として「プルーフ・オブ・リザーブ(PoR)制度」を発表。同社が保有するBTCの準備金データを公開するなどの取り組みを行なってきました。
バイナンスは、2022年11月にマークルツリー(データを要約・検証するためのデータ構造)を用いたPoRシステムを公開したものの、2つの課題があったとブログ内で説明。
1つは、リーフノード(子を持たない最下層のノード)の残高情報の合計をマークルルート(マークルツリーのすべてのハッシュを組み合わせたハッシュ)に反映できない点で、ユーザーのプライバシーが守れることと引き換えにこの課題が生じたとしています。
画像引用元:Binance
2点目として、必要な準備金の合計を小さくするために、準備金の検証を行う主体がツリーのどこかで偽の口座でマイナス残高を追加する可能性がある点を挙げています。
画像引用元:Binance
バイナンスは、zk-SNARKsの実装により上記問題を解決したとしており、マークルツリーのすべてのリーフノードが、バイナンスが主張する各通貨のユーザー合計残高に貢献し、さらに、マークルツリーに”保有する全資産の米ドル換算値がマイナスのユーザー”が含まれなくなったとしています。
Binanceは注意点として「証拠金、ローン、先物取引商品を提供しているため、各ユーザーの各暗号資産の残高は、資産と負債で構成されている場合があり、 ユーザーの特定の暗号資産の残高はマイナスになる可能性はあるが、全ての暗号資産にわたる合計の純残高はマイナスにならない」と述べています。
今回、zk-SNARKを活用したPoRのアップグレードの一環として、バイナンスは残高証明の対象に4つの通貨を追加。現在13種類の通貨がPoRに対応しており、今後数週間でさらに多くの通貨に対応していくとしています。
FTXの一件を発端に中央集権型取引所(CEX)の資金の取り扱いについて注目が集まるなか、業界の中で最新鋭の取り組みをおこなっているバイナンスの動向に注目が集まります。
年間収益1.58兆円のBinance(バイナンス)、従業員の15%~30%増加を計画
記事ソース:Binance
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