米モバイル決済スタートアップ企業のサークル社がステーブルコインに参入し、米ドルとペッグしたデジタルトークン「USDコイン」をローンチすることが、26日、一部報道により明らかとなった。

ユーザーから受け入れた法定通貨をトークンに変換するためのプラットフォームとして「センター」というコンソーシアムを機能させる。「センター」には、中国の仮想通貨マイニング企業大手のビットメイン社などが参画している。また、USDコインはサークル社が今年2月に買収した仮想通貨取引所大手ポロニエックスのほか、米コインベース、フォビ、OKコインなどでも利用可能となる。

サークル社には、米金融大手ゴールドマン・サックスや中国インターネット検索最大手、百度(バイドゥ)などが出資する。モバイルの決済アプリ「サークル・ペイ」のほか、個人投資家向けの仮想通貨取引アプリ「サークル・インベスト」などを展開しており、仮想通貨領域での事業を多角化している。同社はまた、6月に銀行業の免許取得に向けて準備を進めていることが報じられている。

ステーブルコインとは、米ドルなど法定通貨と価格をペッグさせることで価格を安定させる仮想通貨である。今月10日にはニューヨーク金融サービス局(NYDFS)が、著名投資家ウィンクルボス兄弟の運営する仮想通貨取引所ジェミニによる米ドルとペッグした「ジェミニドル」の発行に認可を出した。また同日、NYDFSはブロックチェーン企業かつNY州で信託会社の設立許可を得ているパクソス社による米ドル・ペッグの「パクソス・スタンダード」にも認可を出しており、大手によるステーブルコイン発行が続いている。

現在、ステーブルコインのなかで取引量が多い仮想通貨にはドルとペッグされているテザー(USDT)がある。テザーは仮想通貨市場操作に利用されているのではないかという疑惑がまだ晴れていない状態であるものの、今後、価格が不安定であるという仮想通貨のデメリットを克服し、決済手段としての利便性を高めようとするステーブルコインのメリットは今後も注目されてゆく可能性がある。


<HH>