仮想通貨(暗号資産)のマイニングではハイスペックマシンを稼働させる必要があり、電力消費と騒音問題がよく取り沙汰されます。
今回はそのうち、騒音問題に関する話題をお届けします。
「常に掃除機が動いている状態」のマイニング騒音
自宅でビットコインなどのマイニングをしている人の多くは、マシンの騒音を「常に掃除機が動いている状態」のようだと語ります。GPUを大量に装備したマシンやASIC型のマシンなど、いずれにしてもビットコインなど競争率の高い仮想通貨のマイニングをするにはハイスペックマシンを常時稼働させておく必要があり、その騒音は「掃除機」並みというわけです。
電力消費やそれに伴う電気代の問題に関心が集まりがちですが、実はこの騒音問題も軽視はできません。
アメリカではマイニングの騒音が裁判沙汰に
騒音問題を避けるために、規模の大きなマイナーは専門のマイニング施設を設置し、そこで大量のマシンを稼働させます。常に掃除機が動いている状態のマシンが大量にあるのですから、その騒音は想像を絶するものでしょう。そのため、多くのマイニング施設は人里離れたところにあります。
国土の広い国だとそんな場所に困らないものですが、アメリカではマイニングの騒音問題が裁判沙汰に発展してしまいました。
場所は、テキサス州のクランベリーという町です。この町でマイニング施設を運営しているマラソン・デジタルという会社に対して騒音を理由とする訴訟が起こされました。この訴状では「マイニング施設は迷惑施設」と言い切り、その騒音が極度の不快感と迷惑であると断じています。家庭の中で掃除機が動いている時は会話がしづらくなることは多くの人が経験していることと思いますが、それは掃除機が動いている間だけのことです。それが24時間常に続いているとなると・・・確かに言い分はごもっともかもしれません。
今後もマイニングの騒音問題は不可避か
マイニングの電力消費や電気代などに関する問題は、これまでに何度も提起されてきました。音の静かなマイニングマシンも開発されていますが、どうしても本体が熱くなってしまう問題は避けられず、それを冷やすためのファンが騒音を引き起こしてきました。これはマイニングだけに限らず、データセンターなどでも同様の問題が起きています。
生成AIの普及によって巨大なデータセンターがあちこちにできていますが、これらもマイニング施設と迷惑度では大して変わりません。
問題の本質がクリアになっていないだけに、今後もマイニング施設が迷惑施設と見なされる事例は増えるでしょう。人里から離れたところに設置するのが一番の解決策なので、過疎対策や地方経済の活性化などと絡めて立地を検討するのが最善かと思います。