金融大手モルガン・スタンレーがビットコインやステーブルコイン、中央銀行デジタル通貨(CBDC)が世界の通貨情勢に大きな変化をもたらす可能性を秘めているとの見解を示しました。

同社デジタル資産市場部門リード/エグゼクティブディレクターのAndrew Peel氏は、米ドルの優位性は地政学的な状況の変化により再考されていると指摘。EUが国際貿易においてユーロの使用を強化し、エネルギー取引などでドルの代替となる選択肢を模索している事例や中国が国際貿易における人民元の使用を推進しているクロスボーダー銀行間決済システム(CIPS)を通じてドル中心の銀行間決済システム(CHIPS)への抵抗を試みている事例を挙げました。

さらに、BRICS、ASEAN、上海協力機構(SCO)、ユーラシア経済連合(EEU)などの政府間組織も貿易の請求書発行や決済に現地通貨を使用することへの関心を示しており、これらの動きは世界のGDPの大きな部分を占めていることを同氏は指摘しています。

脱米ドルに向けた動きが世界的に進むなか、Peel氏は「ビットコインなどのデジタル資産、ステーブルコイン、CBDC等のイノベーションはグローバルな金融市場において米ドルの覇権を侵食または強化する機会を秘めている」とコメント。

米ドルが侵食されるケースとして、世界のGDPの95%以上を占める111カ国が2023年半ばまでにCBDCを積極的に検討しているとの報告があるなか、CBDCがより広く採用され、技術的に進化するにつれクロスボーダー決済の統一基準が確立され、SWIFTのような伝統的な仲介機関への依存や米ドルのような支配的な通貨の使用を減少させる可能性があることを指摘しています。

米ドル強化の側面としては、Peel氏はステーブルコインに注目。2022年のデータでは米ドルに紐づけられたステーブルコインの取引ボリュームがPayPalやVisaを上回っていることから、米ドルとペッグされたステーブルコインの台頭により、米ドルがグローバル通貨としての地位をさらに強化する可能性があると同氏は指摘しています。

米ドルにペッグされているステーブルコインUSDCを手がけるCircle社の共同創設者兼CEOジェレミー・アレール氏は昨年夏頃、米国下院の公聴会に登壇し提言を行いました。

「米ドルは岐路に立たされている」とするアレール氏は、地政学な要因で第二次世界大戦後のドルを基盤とする世界金融システムに圧力がかかっていることを指摘。左記状況の中、インターネット上の安全で確実な米ドルへの需要は高まっており、ステーブルコインやブロックチェーンネットワークは数十億人のユーザーと数十兆ドルの決済活動をサポートできる可能性があると述べています。

記事ソース:MorganStanley

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