ビットコインの相場は、半減期前年とその年は上がりやすいことが知られています。

今回は、楽天ウォレットシニアアナリストである松田康夫氏に、このサイクルに関する見解を聞きました。

松田康夫氏の見解

大前提ですが、よく市場で売りが強い、買いが強いといった表現をしますが、市場において売りと買いの数は常に同じです。市場とは価格を調整して売りと買いの数を同数にする機能で、価格が上がれば売りが増え、価格が下がれば買いが増えます。したがって、市場の価格決定要因は第一義的に需給となります。

ビットコインは供給量がプログラムで定められていて、一定となっています。そして、その供給量が4年ごとに半分になるため、当然相場は4年サイクルを描きます。

大体、半減期で供給が半分になると、収入が半分になったマイナーの投げ売りなどで低迷します。その混乱が一巡すると供給減が効き始め、半減期から1年から1年半後にピークを迎えます。そこでバブルが弾けて、1年から1年半後に大体ピークの5分の1くらいまで相場が下がったところでボトムを付けて、次の半減期に向けじりじりと上昇していきます。

このパターンを2回繰り返して、今回が3回目。2022年はボトムの年で、2023年は2025年のピークに向けて戻していくサイクルに入ったイメージです。

出所:TradingView

筆者がビットコイン相場の4年サイクルを唱え始めた2019年頃は、これについてあまり聞くことはありませんでした。しかし、最近では色々な人が言うようになりました。今の相場を、2018年12月に大底を付けてから回復した2019年に似ていると指摘する意見を聞きます。

ただ今年のビットコイン相場は、2019年よりも、その4年前のサイクルである2015年に似てくるのではないかと思っています。

今回の利上げ幅縮小、次は利上げ打ち止め、それぞれで相場は盛り上がるけれど上抜けきれず、年末近くに米国の利下げが見えてきた段階で相場は本格上昇に繋がっていく、そうしたイメージを持っています。

今後の暗号資産市場の注目材料 

今年はともかく米消費者物価指数(CPI)と雇用統計。あとFTX破綻から続く信用不安には注意が必要です。

というのも、仮想通貨市場には最後の貸し手となる中央銀行がなく、当局主導の信用回復が期待できない場合は低迷が長引く可能性が高くなります。

特に今回のFTXは、バハマに本社を置くことで、G20やFATFが求める規制を回避してきた交換所がとんでもないことをしていて破綻したという事実は重くのしかかります。交換所が自己申告する資産証明には何の意味もなく、どこまで行ったら信用できるか分かりません。

こうした中、米当局がBitxlatoという香港ベースの交換所のCEOをマネーロンダリングの容疑で逮捕しました。これは「本社がどこにあろうが、米国の法律で裁く」という前例です。

長い目で見れば、規制を逃れていた交換所がある意味で米国の規制下に入った、投資家保護が図られる可能性が増すという意味で業界にプラスです。しかし、短期的には他の業者も摘発されるリスクが生じています。