5/21に北米証券監督者協会(NASAA:投資家保護を主な目的とし、アメリカ、カナダ、メキシコなどの州レベルの証券規制当局からなる、1919年に設立された国際金融監督者団体)がICOや仮想通貨関連投資商品に対する規制現状と方向性についての声明を公開しました。

NASAAによると、アメリカとカナダの40の管轄区域で今年の5月だけで70件の捜査と35件の執行措置がとられているようです。

一連の規制動向は、「Operation Cryptosweep(クリプト一掃作戦)」と名付けられていて、今年の4月よりNASAAがメンバー規制当局からなるタスクフォースを設置して、詐欺の疑いのあるICOの規制取締を行ってきました。

NASAA会長のジョセフ・ボルグ氏は声明で、「今回発表した(NASAAの)行動は氷山の一角にすぎない」と表明、この先も北米エリアでのICO規制が強化されると推測されます。

さらに、5/22には米証券取引委員会(SEC)のジェイ・クレイトン会長が、NASAAの声明に対するフォローアップで、有価証券を販売するICOには州及び連邦証券法が適用されると明確な方向性をSECの公式サイトで示しています。

こちらの声明で強調されているのは、情報公開に重きを置く既存規制へのアプローチを貫き通す意向です。

 

しかし、NASAAとSECの両委員会はICOで発行されたトークンが全て証券となるかについては言及せず、あくまで既存の証券方がICOに適用されていることの再認識を発行体と投資家向けに行ったという形になりました。

従って一連のトークンの法的位置付けの議論に進展はありませんでした。
CoinScheduleによると、ICO市場は3月に29億ドルの資金調達額を記録しましたが、4月にはその額が9億ドルと大幅に下落しました(およそ70%減)。

5/23(水)現在およそ8億ドルの総調達額となっていて、去年の12月から今年の3月までの10億ドル超の水準がICOハイプだったことが指摘されます。

このことを考慮すると、一見して仮想通貨業界的にネガティブな数字に取れますが、不正な発行体が排除されつつある中、ICO市場が正常化及び健全化されてきているように伺えます。

また、既存の証券法の適用がされるということで、ICOによって発行されるトークンが規制当局より「金融商品」として認識されているということにもなり、かえってICO市場を確立させる好材料となりえます。
言い換えると、規制にさえ則っていればICOによる資金調達とトークンの分配が法的に認められるということです。

更に、これが基準化されると、ETHやNEOなどのICOプラットフォームとして利用されるエコシステムのネイティブ通貨の「実需」を生むことにもなり、仮想通貨業界全体としてポジティブな影響を与えることも考えられます。

 

5/23(水)には米BOXグループのBOX Digital MarketsとtZeroが世界初の有価証券トークン取引所の設立に向けパートナーシップの締結を発表。

また、先日も紹介した有価証券トークン発行のためのプラットフォーム、「POLYMATH(ポリマス)」が既に存在していて、有価証券トークンの「メガトレンド」到来が着々と近づいているかもしれません。(アルトデザイン株式会社 長谷川)

 

<本記事ご協力>

ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供