市場動向

今週の仮想通貨市場時価総額は、週後半にかけて大幅な上昇を記録し、7/25には3047億ドルの週高値をつけましたが、7/27早朝より急反落しております。

本稿執筆時点で今週の安値は7/21の2723億ドルで、高値は上記の通りとなっております。

結果的に、27日早朝の反落により、7/21の週始値(2840億ドル)から現在の市場時価総額(2897億ドル)は2%程の上昇に留まっております(第1図)。

今週の注目ニュースとしては、①20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議共同声明発表、②中国・雄安新地区とConsenSys(コンセンシス)の提携発表、③米国でのビットコインETF(上場投資信託)承認可否を巡る動向などがあります。

G20共同声明:AML基準適用10月まで

7/21〜7/22にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催されたG20会議では、仮想通貨市場の国際的な規制の枠組みに関してなんらかの動きがあると予想されていましたが、FinAltでもお伝えした通り、今回の会議では米国を端に発する貿易摩擦問題が集中的に議論され、仮想通貨市場の規制に関しては実質的な動きがないまま閉幕しました。

7/23に発表された共同声明では、マネーロンダリング防止・テロ資金対策に関する国際的な基準を提案する金融活動部会(FATF)の規制基準が仮想通貨市場にいかに適するかを10月に明示させると記されており、市場の規制を巡る不確実性は10月まで継続しそうです。

共同声明発表後は、重要イベントが終幕したアク抜け感から相場が上昇基調となりました。

しかし、今回のG20会議直前には市場が全体的に下落基調となっており、10月に予定されるFATF規制発表直前には同様の値動きが市場では予想されます。

 

中国・雄安新地区ConsenSysと提携

 

7/23には仮想通貨取引・ICOを禁止する中国で注目の動向が確認されました。習近平国家主席が主導する「新ビジネス都市建設計画」で知られる雄安新地区が、イーサリアムのディベロッパー・ツール開発やブロックチェーンの導入コンサルティングなどを行うコンセンシスと提携したことがSouth China Morning Postより報じられました。

雄安新地区は、北京の非首都機能を移行させ、中国における次世代のビジネスハブとなることを目指しており、イーサリアム・ブロックチェーンによるビジネスソリューションに関してコンセンシスよりコンサルティングを受けるようです。

中国は、仮想通貨に対して厳しい姿勢をとってきた一方で、その背後にあるブロックチェーン技術には高い評価をしており、習近平国家主席自らもブロックチェーンが技術的「ブレイクスルー」だと発言しております。

こちらの報道がなぜ注目に値するかというと、中国の工業情報化省(CCID)は今年5月より仮想通貨のランキングを発表している上に、ここ数カ月で仮想通貨禁止措置を解除する布石が確認されているからです。

 

中国における次の仮想通貨規制がいつ頃あるかは定かではありませんが、CCIDのランキングでは中国系のエンタープライズ向け仮想通貨プロジェクト(EOSやNEOなど)が上位にランクインしており、禁止措置が解除されれば、新規性環境の下これらの通貨から利用可能になることが予想されます(その他ランキングには入っていませんが、中国系のエンタープライズ向けブロックチェーン・ネットワークのOntologyも注目されます)。

 

<本記事ご協力>

ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供