仮想通貨市場

今週の仮想通貨市場時価総額は、週中盤に大幅な下落を記録するも後半にかけて復調の兆しが見られています(第1図)。

本稿執筆時点で今週の週高値は8/11の2284億ドルで、週安値は8/14の1896億ドルとなっており、昨年の11月ぶりに市場時価総額が2000億ドル以下の水準で推移しました。

現在は2000億ドルの水準まで回復しております。

今週の注目ニュースとしては、主に以下の3つがありました。

  1. ①トルコリラショックに伴うトルコ仮想通貨取引所での出来高急増
  2. ②テザー社がビットフィネックスに2億7000万USDT送金
  3. ③イーサリアムを駆使したICOプロジェクトによるETH売却を懸念するBloombergの報道

第1図:仮想通貨市場時価総額チャート(8/11〜8/17)

トルコリラ暴落でビットコイン取引高急増

アメリカとトルコの外交関係悪化に伴うアメリカの制裁措置によりトルコリラは10日、前日比で20%の下落を記録し「トルコリラショック」を引き起こしました。

Coindeskによると、トルコリラショックの直後にはトルコの複数仮想通貨取引所で出来高が急増し、トルコリラを仮想通貨に替えるヘッジの動きが見られたとのことです。

また、トルコリラショックの影響は他の新興国経済に波及し、今週はインドネシアやアルゼンチンで利上げの動きが見られました。こうした経済・金融危機の際は仮想通貨市場に資金が流入するケース(ユーロ圏金融危機の兆候に弾む仮想通貨市場:イタリア政治混迷が皮肉にも好材料か)が過去にも確認されていることから、この先は新興国経済の動向が注目となりそうです。

第2図:トルコ仮想通貨取引所出来高チャート

第3図:アルゼンチン仮想通貨取引所出来高チャート

テザー社がBitfinexに2億7000万USDT送金

米ドルの価値にペッグされた仮想通貨「USDT(通称:テザー)」を発行することで知られるテザー社が今週、4日に分けて合計2億7000万USDTを中国・香港の大手仮想通貨取引所ビットフィネックスと思われるウォレットアドレスに送金したことがOmniExplorerを通じて発覚しました。

テザー社を巡ってはUSDTの新規発行による相場操縦の疑惑が持たれていましたが、OmniExplorerによるとテザー社が最後にUSDTを新規発行したのは今年の6/25で、今回はあくまで同社がすでに発行し保有していたUSDTを市場に投入したということになります。

今週はアルトコインが軒並み下落を記録したことから、ステーブルコインであるUSDTの需要が高まったことが考えられ、供給主導の市場への押し売りではないことが推察されます。

 

<本記事ご協力>

ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供