仮想通貨市場

今週の仮想通貨市場時価総額は、12日に週安値となる1862億ドルまで安値を広げ、2000億ドルの大台を割り込みましたが、週終盤に巻き返しを見せ、9月8日を週初めとして現在は−1.1%の下落率にとどめております(第1図)。

今週の注目ニュースとしては、①欧州連合(EU)が一貫した仮想通貨規制の制定の見送り、②GeminiとPAXOSがそれぞれ米ドルにペッグされた仮想通貨をローンチ、③米連邦判事によるICOに証券法が適用されるか否かの判断などがあります。

【第1図:仮想通貨市場時価総額チャート】

出所:CoinMarketCapより作成

EU:一貫した仮想通貨規制見送り

先週のウィークリーアップデートでも告知した通り、9月7日から8日にかけてオーストリア・ウィーンで、欧州連合加盟国28カ国の財務相・中央銀行総裁による仮想通貨規制に関する会合が開かれました。

EUには一貫した仮想通貨やICOに関する規制がないことから、今回の会合で更なる規制強化に向けて動くことが予想されていましたが、結果的に各国所轄官庁による更なる市場分析の結果を待つ形となり、EU内での一貫した規制の制定は見送りとなりました。

また、先週4日から5日にかけて中国・杭州市で行われた金融活動作業部会(FATF)のFinTech & RegTechフォーラムでも新たな動きはなく、国際的な仮想通貨の規制動向による市場への圧力は軽微なものだったと言えるでしょう。

この先、仮想通貨規制で大きな動きがあることが予想されるのは、10月11日にインドネシア・バリで開催予定の20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議だと考えられます。

GeminiとPaxosが米ドルペッグ仮想通貨発行のクリプトライセンスを取得

10日には仮想通貨取引所のGeminiと、itBitを運営するPAXOSがそれぞれ米ドルに1対1でペッグされた仮想通貨(ステーブルコイン)、Gemini Dollar(GUSD)とPaxos Standard(PAX)の認可をニューヨーク金融サービス局(NYDFS)から取得しました。

ステーブルコインというと、現在はTetherが発行するUSDTが人気を博していますが、リザーブの有無や相場操縦、さらにはマネーロンダリングに利用されている疑惑が浮上したこともありました。

今回、GeminiとPAXOSが通称「クリプトライセンス」とも言われるNYDFSの厳しい審査をクリアしたことで、「信頼できるステーブルコイン」が誕生したと言えるでしょう。

NYDFSは10日、プレスリリースで両運営体に対し、それぞれのステーブルコインが不正等に利用されないよう厳しいモニタリングを実施していくと発表しました。

ボラティリティが激しい仮想通貨市場では、仮想通貨の購入や一時的なヘッジにステーブルコインが利用されます。信頼できる運営体が発行するステーブルコインは市場参加者の活動をスムーズかつ活発にする効果が期待されます。

 

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ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供