仮想通貨交換業者のテックビューロが運営するZaifがハッキングによって仮想通貨が流出した事件で、新たな展開があった。

IT企業のJapan Digital Design(JDD)の5日の発表によれば、同社がサイバーセキュリティの専門家らとともにZaifから流出したモナコインのトランザクションを監視し、IPアドレス等の発信元の情報を関係当局に情報提供した。

朝日新聞の報道によれば、IPアドレスは欧州のサーバー貸出業者からのものだったという。

JDDは9月23、24日にセキュリティ専門家の杉浦隆幸氏やCTFチームの「TokyoWesterns」とともに、Zaifから流出した仮想通貨を追跡するハッカソンを実施。流出したモナコインのトランザクションを追跡するための仕組みづくりを行った。

モナコインのネットワーク上に222台のノードを設置し、ノードから集約したIPアドレス等の情報を記録・分析していた。

JDDの発表によれば、監視を続ける中で「当該Monacoinが10月20日から移動を開始したことから、該当するトランザクション5件の発信元を推定、当該トランザクション発信元の特徴について、関係当局に情報提供」したという。

ASCIIの報道によれば、5件のIPアドレスの詳細はフランスからのものが4件、ドイツからのものが1件だったという。

Zaifからは約70億円分の仮想通貨流出

仮想通貨取引所Zaifへのハッキングによる仮想通貨流出は9月14日に発生。ビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコインの3仮想通貨で計70億円分が流出した。このうち顧客保有分は45億円にのぼる。

テックビューロ側は10月10日にフィスコ仮想通貨取引所との間でZaif事業の譲渡について契約を締結したことを発表し、顧客への補償についても公表した

ビットコインとビットコインキャッシュについては、流出した数量に相当する仮想通貨の調達を行っており、11月22日以降、フィスコ側の運営となった後に入出金のサービスを再開する予定だ(具体的な日時は未定)。

モナコインについては、仮想通貨ではなく、日本円による補償を行う。テックビューロによれば、流出した分量の仮想通貨を市場から調達することが「著しく困難な状態」なためだ。

流出したモナコインのうち、6割については現物で、4割については日本円で補償する(日本円部分は1モナコインあたり144.548円)。

テックビューロは10月22日に臨時株主総会で事業譲渡を承認。同日から11月21日までのの期間、Zaifの既存ユーザーに対して、フィスコ側への事業承継の承諾を求めている。

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