毎朝、レポートを公開いる楽天ウォレット、シニアアナリストの松田康生氏にお会いし、仮想通貨(暗号資産)相場は底を打ったのかどうか、様々な面から意見をもらいました。

松田氏の分析では、相場は大底を打った可能性が高いそうです。

暗号資産市場の底打ち

相場は需要と供給で値動きが起こります。

ビットコインは供給量が決まっているところがポイントです。そして、4年に一度半減期が到来するために、ビットコインの相場サイクルは4年周期ということが考えられます。

これまでのビットコインの半減期後のサイクルで見ると、最初の半減期からそれぞれ777日、888日で底を迎えています。今年6月18日は半減期から767日となり、日柄的には6月18日の1万7000ドルが底でも不思議はありません。

ピークからの下落率をみると、過去2回が85%前後であるのに対し、今回は75%程度です。そのため、この部分ではもう少し下押しがあっても不思議はありません。

ただ値動きを見ると、大底から2回、2万ドル割れをトライして跳ね返されてきました。恐らく、売るべき人は売って、長期的に保有する投資家が多くなったため、下がりにくくなったと感じています。

ここに来て、さらに相場をサポートする材料が出てきました。それは、テスラのビットコインの売却です。

5月はテラプロジェクトの売り、6月はテスラの売りで相場は大きく下落しましたが、市場にはもう売り玉がなくなったのでしょう。

最大の売り手であるマイクロストラテジー社は売らないと考えると、相場は底打ちした可能性が高いと言えます。

倒産した暗号資産ファンドに関して

長年金融市場に身を置いてきた筆者は、テラ(LUNA)問題のように問題を複雑化してリスクの所在が分からなくなって、崩壊する金融商品は今までも何度も見てきました。わき道にそれますが、横文字でよくわからない説明をして煙に巻くのは暗号資産業界のよくないところです。

投資である以上、何のリスクにベットしているのか一言で説明できないような商品に投資すべきでもないし、資金使途がはっきりしないレンディングに投資するのは、個人はともかく機関投資家ならどのようなリスク管理をしているのか不思議になります。

その直撃を受けて立ちいかなくなる金融機関が出てくるのは仕方がありません。しかし、恐ろしいのは取り付け騒ぎと信用不安・信用収縮の連鎖です。そもそも、これらの問題を断ち切るために中央銀行は設立されました。FRBがReserve(準備)というのは取り付け騒ぎを防ぐためです。しかし、暗号資産業界にはその仕組みがありません。

金融界では、約100年ほど前のFRB誕生以前は、JPモルガンやロスチャイルドなどの業界のリーダーが中央銀行的な役割を果たしており、危うくなった金融機関の救済や買収を行ってきました。現在の仮想通貨業界では、FTXとBinanceがその役割を果たしているといえます。

今回テラ問題が出たときに、ブルームバーグはリーマン・ショック(正確にはその前兆のベアスターンズショックやBNPパリバショック)に喩えて、もうすぐリーマン級のショックが到来するとレポートしたのを見ました。筆者はこれを見て、あまりにも大げさ過ぎて、悲観的過ぎたことから、相場はもう底を付けたなと感じました。 


筆者は2007年11月までメガバンクでMBS投資を担当していました。そのため、2007年から始まった金融危機に関しての事情は詳しいところです。

リーマン・ショックはサブプライム関連商品が原因です。しかし、なぜ100年に1度なのかといえばリーマン・ブラザーズが破綻してインターバンク市場でデフォルトが発生したためです。これがブラックスワンと言われるゆえんです。

テラ問題はステーブルコインで20%近い金利が得られると思った人が損をしたのですが、そんなうまい話に乗る人がそう多いとは思えません。母数が少ないということです。

イーサリアムのアップデートスケジュール決定での安心感

イーサリアムは、マージ(The Marge)の日程が決まったことより、7月13日から18日にかけて14万円台から22万円まで実に50%も上昇しました。市場の売り疲れ感が出ていた結果だと思います。

しかしマージについては、正直どう転ぶのかまだよく分かりません。

  • Web3が引き続きETH中心で行きイーサリアムキラーが存在意義を失っていくのか
  • ETHは象徴的な存在となり、イーサリアムキラーの時代が到来するのか。

いずれにせよ、勝ったプロジェクトのトークン価格は何倍にも跳ねる可能性があるため、両方にベットしても良いのかもしれません。