第一回 バークレイズのプライシングモデルから読み解く仮想通貨市場サイクル

ビットコインは「疫病」のよう。「集団免疫閾値」到達でピークは過ぎたか?

今回は4/10(火)にBloombergが報じた、バークレイズのビットコインプライシングモデルをもとに仮想通貨市場の「サイクル」について、2部に分けて考察していきたいと思います。

第一回目の今回は、バークレイズが疫学を用いて説明したプライスモデルのまとめとなります。

 

ジョセフ・アベーテ氏率いるバークレイズアナリストチームによると、ビットコインは疫病に例えることができるそうです。そして、ビットコインの投資家には3通りあるとしています。

  1. 1.Susceptible:感染しやすい人口
  2. 2.Infected:感染した人口
  3. 3.Immune:免疫を持った人口(今回のアナロジーでは、「感染していない人口」のニュアンスに近い)

 

投資能力がある資産家が増えると、まず「感染しやすい人口」が増えます。この人口は、ビットコインを買うポテンシャルがある人たちになります。そしてこの中から「感染した人口」、即ちビットコインを購入した人口が出てきます。去年価格が爆騰した仮想通貨は、メディアなどで一気にプレゼンスを高め、「感染しやすい人口」と「感染した人口」を急増させたと言えます。

これを単純に言いかえると、潜在的「買い手」と「売り手」の比率が変わった事になります。資産家の中で、ビットコインのことを知っている、又は投資対象として興味がある人口(潜在的買い手)の多くが、去年実際にビットコインを購入したことで、今度は潜在的売り手になりました。そうした事で、売り手が買い手を上回り、上値を頭打ちした可能性があるそうです。

こうした状況は、投機的な売り圧力を誘発しやすく、増大した売り手人口が結果的に大量のビットコインを売るリスクも同時に増えます。そうなれば、ビットコインの価格は下落し続け、今度は買う人が激減し、資産家の中でもビットコインに手を出さない(新規参入がない)状況が出てくると考えられます。これが疫学で言う「集団免疫閾値(集団内で特定の感染症に対する免疫を持つ人口が増え、二次感染の確率が著しく低くなる割合)」の到達に例えられ、ビットコイン(感染症に)を買う(かかる)人口が著しく減る状況となります。

 

よって、リターンが「下げ」になる変数として重要なのが、「ビットコインを知っている人口」と「ビットコインに投資する意欲のある人口」の比率だとバークレイズは整理しています。後者が実際に売り手に回り潜在的買い手との比率をあげると、市場が暴落するリスクが出てくるので、理にかなっています。

バークレイズは先進国経済圏での仮想通貨自体の認知度はほぼ100%で、潜在的買い手人口は既に少ないとしています。これらのことを踏まえ、アベーテ氏は、去年末に記録されたような仮想通貨価格の急騰は今後起きない可能性があると結論づけています。

以上のことから、去年6月頃から徐々に進んだ「買いトレンド」が、11月に入りさらに急加速。その結果、去年末から年始にかけて売り手が増える「売りトレンド」に突入したと読めます。また、裏を返せば、現在低迷する市場の裏で潜在的買い手人口の比率が上がっている(もとに戻っている)ということなので、何かの拍子に「買いトレンド」に転じる可能性も指摘できます。

 

<本記事ご協力>

ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供