仮想通貨(暗号資産)のマイニングは、これまでさまざまな変遷を遂げてきました。それまで誰も予想もしなかったような新しいビジネスだけに迷走してきた部分もありますが、それも昔の話。今回は、CPUから始まったGPU、そしてASICへと進化してきたマイニングの今昔を振り返ってみたいと思います。

併せて、これから個人でマイニングに参入しようと考えている方に向けて、おすすめの機器についても解説します。

すべての始まりは、サトシナカモトのCPUマイニング

ビットコインやその決済システムであるブロックチェーンなどを発明、開発したのは「サトシナカモト」という人物であるとされています。名前の語感からして日本人であると推測できますが、自分が本人であると名乗り出ている人がいるわけではないので、真相は謎です。

このサトシナカモトが発明したビットコインのブロックチェーンは当初、CPUによってマイニングされていました。CPUとはパソコンなどの中央演算装置で、かつて「ペンティアム」や「アスロン」といったCPUが一世を風靡したこともありました。今では「コアi7」などのCPUがさまざまな機器に実装されています。

CPUでマイニングができていた当時のビットコインはまだまだ価値が低く、マイニングに興味を持つ人も少数でした。それだけに競争が激しいわけでもなく、使い道がなくなった古いパソコンでマイニングをしていた人もいました。

今と比べると、実に牧歌的な時代です。

暗号資産の価格上昇を受けてマイニングの主役はGPUへ

仮想通貨への注目度が高まり、投機的な動きもあってビットコインなど主要な仮想通貨の価格が上昇、いや高騰してくると、マイニングを巡る状況は一変します。

CPUでのんびりとマイニングをしていただけでは台帳記録の競争に勝てなくなり、やがてビットコインなど主要な仮想通貨のマイニングに適しているとされるGPUが主役になります。

GPUとは画像処理をするための演算装置で、グラボ(グラフィックボード)に実装されています。3Dグラフィックを多用するゲームで遊びたい人は高性能なグラフィックボードをパソコンに装着しますが、それがマイニングにも適していることが分かり、世界的にGPUブームが巻き起こります。

逆に仮想通貨側もGPUでのマイニングに最適化するようになり、この頃からパソコンのパーツに興味を持つようになった人は、GPUがマイニング用のパーツに見えていたかもしれません。

ひとつのパソコンにグラフィックボードを8枚も装着したマイニング専用の機器も人気を博し、仮想通貨のマイニングに特化したパソコン(マイニングマシン)が続々と登場するようになりました。

さらに暗号資産マイニングに最適化されたASIC時代の幕開け

GPUによるマイニングスピード競争は、ASICという新たなステージに進みます。ASICはGPUよりもさらに仮想通貨マイニングに特化したマシンで、逆にいうとマイニング以外に使用することはできません。さすがマイニング専用機だけあって演算性能はずば抜けており、事業としてマイニングビジネスを手がける企業などはこぞってASICを大量導入しました。

この傾向は今も続いており、マイニングビジネスの主役はASICです。

これからマイニングビジネスに参入しようと考えている方へ

これからマイニングに参入しようと思うのであれば、やはりASICが有利なのは間違いありません。

しかし、先ほども述べたようにASICはマイニング専用機です。それ以外につぶしが利かないのが、最大のネックです。しかも仮想通貨の仕様は頻繁に変更されるので、仮想通貨の銘柄によってはそれまで通用していたASICによるマイニングができなくなる(もしくは遅くなる)といったことも起きています。その意味では、ASICと比べると能力は劣りますがGPUマイニングのほうが他の暗号資産や他の用途への転用が可能なので、低リスクです。

事実、筆者の知人にはビットコインマイニングのためにGPUを8枚装着したスーパーマシンを構築してマイニングに参戦していましたが、電気代の高騰を受けて撤退。その後はグラフィックボードを活用して動画処理などにパソコンを転用しています。

こうしたことができるのもGPUマイニングのメリットなので、これから参入する方でリスクを抑えたいのであれば、GPUマイニングをおすすめします。


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