ご承知の通り、今週、日本時間16日の午前2:00にビットコインキャッシュのハードフォークが予定されています。
今回のハードフォークによるネットワークのアップデートを巡っては、Bitcoin ABCが実装を予定するバージョン0.18.0に対する批判が浮上し、「Bitcoin SV(ビットコイン ・サトシビジョン)」クライアントが台頭。ネットワークは分裂必至という状態になっています。
一方のBitcoin ABCには大手仮想通貨マイニングハードウェア会社のBitmain(ビットメイン)と、ビットコインジーサスとしても知られるロジャー・バー氏がついており、他方Bitcoin SVには自称サトシナカモトのクレッグ・ライト氏および同氏率いるブロックチェーン関連会社nChain(エヌチェーン)と、マイニングプールを運営するCoingeek(コインギーク)がついており、海外では「最も非聖なる聖戦:サトシVS.ビットコインジーザス」とも形容され大変注目を浴びています。
参考記事(フィナンシャル・タイムズ):The unholiest of holy wars: “Satoshi” vs “Bitcoin Jesus”
ビットコインとビットコインキャッシュネットワークの統計データを公開するCoin Danceによると、現在、Bitcoin SVは66%〜76%のビットコインキャッシュマイナーから支持を得ており、Bitcoin ABCは19%〜31%のマイナーから支持されているようです。
本日のハッシュレート別マイニングプールのシェアを見てもわかるように、Bitcoin SVのSVPoolとCoingeekがネットワークのハッシュレートの大半(61.11%)を占めていることがわかります(第1図)。
【第1図:ハッシュレート別マイニングプールシェアチャート】
出所:Coin Danceより作成
また、余談になりますが、上記フィナンシャル・タイムズの記事にもあるように、ライト氏はBitcoin ABCおよびそれを支持するバー氏に対してかなりの敵対心を抱いており、バー氏を脅迫する内容のメールまで送っているようです。
こうした極度な敵対心から、「ライト氏は自身の資金を投入してBitcoin ABCバージョンのチェーンに51%攻撃を仕掛け、ハッシュ戦争において勝利を収めるつもりだ」と一部では噂されているほどです。
こうしたやり取りは、関係のない人からすれば見ていて面白いかもしれませんが、ビットコインキャッシュ(BCH)の保有者にとっては、「自分が持っているBCHはどうなってしまうのか」という懸念もあるかと思われます。
基本的には、ネットワークが2つに分裂しようが、2つ以上に分裂しようがそれぞれのチェーン上で現在保有する分の新通貨を保有することができます。
例えば、現在1BCH保有していたとすれば、1BCHABCと1BCHSVを保有することができます。
しかし、確かにハードフォークによる分裂で自動的に資産が増えることに違いはありませんが、今回のビットコインキャッシュのハードフォークには注意点があります。
それは、Bitcoin ABCとBitcoin SV双方が「リプレイ・プロテクション」の実施を打診していない点です。これにより、ユーザーはリプレイ攻撃の被害にあう可能性があります。
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ビットコインなどの仮想通貨をまとめたメディア『FinAlt』が提供
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