BTC/USDはマイニングの損益分岐点付近で反発を繰り返す
仮想通貨のネットワーク維持に不可欠なマイニングのコストに注目が集まっています。
今年のビットコイン(BTC)の対ドル相場は、節目となる6000ドル周辺で反発を繰り返してきましたが、これは、マイニングハードウェアメーカー大手のビットメインが販売するAntminer S9(以後S9)を0.1usd/kWhで運用した際のおおよそのマイニング損益分岐点となります(CoinWarz調べ)(第1図)。
このことから、マイニングの損益分岐点がBTCの限界安値と意識されていることが指摘されます。
しかし、この6000ドルの損益分岐点ですが、11月にビットメインが新機種Antminer S15(以後S15)をリリースしたことにより大幅に引き下がっています。
S9が約1320Wの電気消費量に対し14TH/sというスペックだったのに比べ、S 15は1596Wの電気消費量に対し28TH/sのスペックを誇ります。
これを、現在のビットコインのマイニング・ディフィカルティに対し、電気料金を0.1usd/kWhと想定すると、損益分岐点はおおよそ3700ドルとなります。
ちなみに、電気料金が主要国の中では比較的安く、ビットメインが運営するマイニングプールがある中国の電気料金は、地域によりバラツキはありますが、首都北京で産業用電気が0.1usd/sで主要36都市の家庭用電気が0.075usd/sとなっています(CEIC調べ)。
よって、4日のBTCの終値が3981.9ドルということを考慮すると、現在の価格はマイニングコストの損益分岐点に基づくサポートライン付近まで下がってきているということがわかります。
【第1図:BTC対ドルチャート(0.1usd/kWhでのS9、S15損益分岐ライン)】
出所:Trading ViewのBTC/USDチャートより作成
また、3700ドルのサポートラインは、最新鋭のマイニングマシーンを低水準の電気料金で運用した際の推定損益分岐点となるため、相場が同水準を割り込めば市場参加者には相応の心理的ダメージとなることが指摘されます。
【第1表:S9、S15スペック&電気料金別推定損益分岐点】
出所:CoinWarzより作成
ビットコインマイニングは負のサイクルへ?
前述のS9によるBTCのマイニングコストの損益分岐点を基準とするサポート(約6000ドル)が意識されていた根拠として、10月頭からのハッシュレートの下落が挙げられます。
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