今や仮想通貨マイニングの主役に躍り出た感のあるASICについて、前編のコラムではその基本とそれまでのマイニングの変遷についてお話をしました。
ASICがどんなものかよく知らないという方は、前編からお読みになることをおすすめします。
さて、今回は磐石に見えるASICについて、知っておくべき弱点や問題点についてのお話をしたいと思います。
高価なものなので、購入してマイニングをしたいとお考えの方は、その前に本コラムをお読みください。
マイニング以外は「ただの箱」
ASICは特定用途向け集積回路のことなので、マイニング以外の用途には一切使い道がありません。
しかも単体で動作することもできず、ASICを動かして管理するには別途パソコンが必要です。
平たく言えば、マイニング以外に能のない「ただの箱」です。
購入したもののマイニングをしなくなったら、本当に「ただの箱」になってしまいます。
数百万円もするような高価なマシンが、仮想通貨マイニングで使えなくなった時点で「ただの箱」になってしまうのは、一種のリスクだと思います。
膨大な電力使用と爆音の問題
個人がマイニングのためにASICを購入、稼動を始めると、どうしても避けられない問題が発生します。
それは、膨大な電力消費と爆音の問題です。
仮想通貨マイニングは常に電気料金との戦いですが、日本は世界的にも電気料金が高いので、どうしても採算を取るのが厳しくなります。
ASICがいかに高性能といっても、高性能であるがゆえに高額の電気代になることは避けられません。
それでもビットコインなど仮想通貨のレートが上昇すれば採算性も良くなりますが、そうなるとあくまでも相場頼みということになってしまいます。
爆音の問題も、個人が自宅でマイニングをするとなると許容できる範囲が限られてくるでしょう。
掃除機をつけっぱなしにしているような機械が家の中にあるのですから、専用の部屋を設けて密閉しない限りはうるさくて生活になりません。
しかも、密閉するということは熱を持つのでエアコンもつけておかなければなりません。
これで元を取るとなると、やはり個人レベルでは難しくなってきます。
ASICが通用しなくなる時が来る?
電気代と爆音の問題をクリアすることさえできれば、ASICでビットコインをザクザク掘れる・・・と言いたいところですが、まだ問題があります。
現在、ビットコインのマイニングはASICの独壇場になりつつあります。ASICでないと自力で掘れないとなると、ASICを大量に稼動させている体力のあるマイニング業者によって寡占状態になってしまうことが考えられます。
詳しくは別の記事を解説しようと思いますが、仮想通貨マイニングには「51%問題」と呼ばれる問題があります。
簡単に説明すると、悪意のある個人または複数のマイナーがネットワークの過半数を占めることによって、その仮想通貨において不正取引が可能になってしまうことを言います。
高価なASICが登場して以降、仮想通貨を掘りまくっているという現状が、当初は分散型ネットワークであることが特徴だったブロックチェーンを中央集権化してしまっているのです。
もちろん、ASICの寡占を防ぐためにアルゴリズムの変更を行っている仮想通貨もあります。
ASICは特定のコインを採掘するために設計されたものなので、そのアルゴリズムに最適化されています。
それが通貨側によって変更されると優位性が失われ、ある程度の採掘はできると思いますが、独壇場と呼べるような状況ではなくなってしまいます。
高いお金を出して買ったASICが、購入直後にアルゴリズム変更されて使い物にならなくなった・・・というのは極端かもしれませんが、その可能性はあるということです。
マイニングファームという選択肢
さて、個人レベルでASICを購入して自宅マイニングをすることの現実味が、どんどん薄れていることがお分かりいただけたと思います。
こうなることを心配する声はもちろんありましたが、まさかここまで早くこの状況になるとは多くの人が思っていなかったでしょう。
それを押し進めたのが、2017年に起きた仮想通貨の高騰です。
ブロックチェーンに参加をしてマイニングをして、そこから報酬を得るというモデルそのものは、今も正常に機能しています。
そしてGPUが活躍しているアルトコインもあるので、ASICが無ければ何もできないというわけでもありません。
ただ、GPUと使うにしてもASICを使うにしても、マイニングをするのであれば、専用のマイニングファームがさらに有利になっていることは間違いありません。
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