「TDバンクが30億ドルの罰金を受けても倒産しなかったようにテザーも破綻することはないでしょう」
コンプライアンスの専門家であるジョシュ・ガルシア氏は、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたテザーに関する調査について、冷静な見解をCNBCのインタビューで示しています。
TDバンク(トロント・ドミニオン銀行)は、カナダを拠点とする大手銀行で、過去に金融規制違反で巨額の罰金を受けましたが業務を続けている事例として紹介されています。ガルシア氏は、この例を引き合いに出し、テザーへの今回の調査が市場への決定的な打撃にはならないと示唆しました。
WSJによると、連邦検察官はテザーが麻薬取引、テロ資金供与、ハッキングといった違法行為に関与するために第三者に利用されている可能性を調査しています。さらに、米財務省は制裁対象の個人や団体がUSDTを使用していることを受け、テザーに対する制裁を検討しているとのことです。
これに対しテザーはブログ記事で報道を「無責任なもの」と批判し、法執行機関との協力実績が無視されていると主張。同社は市場でUSDCやPYUSDなどのライバルと競争しながら、欧州ではMiCA(Markets in Crypto-Assets)規制への準拠を求められるなど、厳しい環境下での事業展開を強いられています。
ガルシア氏は、こうした状況に対し「今回の報道が、他のステーブルコインへの移行を促す材料として利用される可能性はあるものの、これは業界全体に共通する課題である」と述べました。また、規制への対応を容易にする全国的なライセンス制度の整備が、テザーを含む多くのスタートアップにとって重要な進展となる点を強調しました。
テザーの準備金構成について同氏は「USDCやPYUSDと同様、その大部分が米国債や政府債券で裏付けられており、競合他社と大差はない」と指摘。暗号通貨業界では、法定通貨を基盤とするステーブルコインの裏付け資産として米国債が重要な役割を果たしているのが一般的となっています。
今回の報道はテザーが法的および市場のプレッシャーにどう対処するのかを問う新たな試練と言えます。ガルシア氏は、テザーがこれまでも複雑な環境の中で成長してきた企業であり、今回の状況も乗り越える力を持っていると楽観的な見解を示しました。
記事ソース:CNBC
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