米トランプ政権が打ち出した新たな関税政策が仮想通貨市場にどのような影響を与えるのかに関心が高まっています。
人気ポッドキャスト「$1 To $1 Million」の最新エピソードでは、ホストのジェシー・エッケル氏がこの問題について詳細な分析を展開しました。エッケル氏は短期的には不確実性が存在するものの、長期的には仮想通貨市場にとって強気材料となる可能性が高いとの見解を示しています。
仮想通貨上昇の鍵:流動性・信用・ドル安
エッケル氏はまず、過去の仮想通貨の強気相場、具体的には2013年、2017年、2021年の市場を振り返り、その背景には「豊富な信用」、「流動性」、そして「ドル安」という3つの要素が重要な推進力として存在したと指摘しました。現在の市場環境に目を向けると、ドルは選挙後にピークをつけた後、下落傾向を示しており、この動きが2017年の状況と類似している点に注目しています。ドル安が進行すれば世界的な流動性が高まり、仮想通貨市場には追い風となるため、理想的にはドル指数が90台まで下落することが望ましいとの見解を示しました。
流動性に関しては、グローバルM2(世界のマネーサプライ)の正確な測定は困難であるとしつつも、参照しているチャートによれば世界的な流動性は2024年9月に底を打ち、その後回復傾向にあると述べています。過去のデータ分析から、流動性の変動が仮想通貨価格に反映されるまでには通常3ヶ月から4ヶ月程度の遅延が見られるため、現在の流動性回復に基づけば、2025年の4月か5月頃に価格上昇が始まる可能性があると分析しています。
さらに、信用状況も仮想通貨価格にとって極めて重要です。信用リスクを示すスプレッドは2022年以降縮小傾向にあり、これは市場にとって強気の兆候とされます。一方で、米国の10年債利回りは、過去の強気相場時(約2%)と比較すると依然として高い水準にありますが、低下の兆しを見せています。
エッケル氏は、トランプ政権による規制緩和策や近年米国債の重要な買い手となっているステーブルコインの発行拡大がさらなる金利低下、すなわち信用コストの低下を促し、仮想通貨市場を後押しする可能性があると指摘しました。信用が拡大することが力強い価格上昇の鍵となります。
楽観論の裏にある潜在的リスク
一方で、エッケル氏は強気の見通しだけでなく、潜在的なリスクシナリオについても警鐘を鳴らしています。一つ目は、過去の急速な利上げサイクルの影響により、金融システムのどこかに脆弱性が潜んでおり、それが顕在化して銀行破綻のような形でシステムが毀損するリスクです。もしこれが現実となれば、2020年のコロナショック時のような短期的な市場の急落が発生する可能性があります。しかし、そのような事態が発生した場合、FRB(米連邦準備制度理事会)は利下げや量的緩和(QE)といった大規模な金融緩和策で対応することが予想されるため、結果として市場に過剰な流動性が供給され、仮想通貨にとっては中長期的に見て強力な追い風になる可能性が高いと分析しています。
二つ目のより深刻なリスクとして、過去の低金利時代に企業や個人が積み上げた巨額の負債が現在の高金利環境下で借り換え困難となり、広範なデフォルト(債務不履行)や深刻な景気後退を引き起こす可能性を挙げています。これが最も現実味のある弱気シナリオだとしながらも、エッケル氏は、FRBが経済の壊滅的な崩壊を許容することは考えにくく、その使命に基づき、最終的には利下げや「ステルスQE」と呼ばれるような非伝統的な緩和策を用いてでも対応する可能性が高いと考えています。現在の比較的高い金利水準は、FRBに十分な利下げ余地を与えているとも指摘しました。
トランプ新関税の影響と仮想通貨への波及

画像:Victor Sanchez G / Shutterstock.com
新たに発表された「相互関税」に関しては、その詳細が明らかになったことで市場の不確実性が一つ取り除かれた点に関してエッケル氏ポジティブに評価しています。しかし、短期的には輸入コストの増加が多くの企業の収益を圧迫し、株式市場にマイナスの影響を与え、仮想通貨もそれに連動して下落する可能性があると見ています。
市場はこの新しい情報を消化するために時間を要し、しばらくはボラティリティ(価格変動性)の高い状態が続くと予想されます。関税によるインフレ圧力については、その影響は複雑であり、単純にコストが消費者に転嫁されるとは限らないとの見方を同氏は示しました。消費行動の変化や企業の価格戦略、他国からの代替輸入など、多くの要因が絡み合うためです。
中長期的な視点ではもし関税が米国経済に著しい悪影響を与えるならば、それはFRBに対して利下げや量的緩和といったハト派的な金融政策への転換を促す強力な要因となり得ます。そして、そのような金融緩和は結果的に仮想通貨のようなリスク資産市場にはプラスに作用する可能性が高いと考えられます。また、関税によって得られる収入が米国の財政を潤すという側面も無視できません。
まとめ
エッケル氏は現在の市場に見られる短期的な下落は過去の流動性収縮の影響が時間差で現れていることと、関税導入に伴う不確実性が組み合わさった結果であると分析しています。
中期的には金融システムの潜在的な問題や債務問題といったリスクが存在するものの、たとえ短期的に調整やネガティブなイベントが発生したとしても、最終的にはFRBによる金融緩和策が発動され、仮想通貨市場は力強い上昇局面に到達する可能性が高い構造にあると述べています。今後の市場の動向から目が離せません。
記事ソース:Youtube
免責事項
・本記事は情報提供のために作成されたものであり、暗号資産や証券その他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的で使用されたり、あるいはそうした取引の勧誘とみなされたり、証券その他の金融商品に関する助言や推奨を構成したりすべきものではありません。
・本記事に掲載された情報や意見は、当社が信頼できると判断した情報源から入手しておりますが、その正確性、完全性、目的適合性、最新性、真実性等を保証するものではありません。
・本記事上に掲載又は記載された一切の情報に起因し又は関連して生じた損害又は損失について、当社、筆者、その他の全ての関係者は一切の責任を負いません。暗号資産にはハッキングやその他リスクが伴いますので、ご自身で十分な調査を行った上でのご利用を推奨します。(その他の免責事項はこちら)
The post トランプ政権が関税導入、仮想通貨市場は今後どうなる? appeared first on CRYPTO TIMES