6月にメインネット移行を果たし、今後はイーサリアムと同じくアプリケーションプラットフォームとしての活躍が期待されている仮想通貨EOS(イオス)。イーサリアムから独立し、独自のブロックチェーンで動くようになったため、以前に比べ、その機能性に注目が集まっています。今回取り上げるのは、EOSのコンセンサスアルゴリズムについて。「コンセンサスアルゴリズムとは何なのか」から、EOSのコンセンサスアルゴリズムDPoSの特徴にいたるまでを解説します。
EOS(イオス)の概要
コインの名称/EOS(イオス)
ティッカー/EOS
時価総額/504,221,385,736 JPY(2018年9月時点)
総発行量/10億EOS
現在の発行量/10億EOS(2018年9月時点)
EOSの公式サイト:https://eos.io/
解説記事はこちら
コンセンサスアルゴリズムとは?
仮想通貨のテクノロジーに明るくない方にとっては、次から次に登場する横文字にちんぷんかんぷんということも多いのではないでしょうか。ここではEOSのコンセンサスアルゴリズム「DPoS」を掘り下げる前に、「コンセンサスアルゴリズムとは何なのか」を解説します。
大部分が非中央集権という特性を持つ仮想通貨では、取引台帳の整理を有志に頼っています。しかし、無報酬では誰も手伝ってくれません。仮想通貨のシステムには、取引台帳が整理されるたびに報酬用の通貨が発行される仕組みが取り入れられており、有志は取引台帳の整理を手伝うことで、報酬としてその通貨を得ることができます。この有志による一連の作業のことをマイニングと呼び、マイニングは仮想通貨市場の中で大きなマーケットとなっているのです。
とはいえ、協力する気のある人であれば、誰しもがマイニングによって報酬を得られるわけではありません。そこには通貨ごとに決められたマイナー(マイニングをおこなう人)の選抜ルールがあります。この選抜ルールこそがコンセンサスアルゴリズムというわけです。
コンセンサスアルゴリズムの種類
コンセンサスアルゴリズムにはいくつかの種類があります。主なものを紹介します。
Proof of Work(プルーフオブワーク/PoW)
PoWは、仕事量によって有志を選抜する仕組みです。この仕組みではもっとも早く台帳整理した人をマイナーとし、マイニング報酬を支払います。
メリットは不正なマイニングに強いという点。きちんと選抜できるよう台帳整理の難易度を調整するので、マイニング報酬を不正に得ることはまずできません。
その一方で、デメリットも存在します。それは能力を持つマイナーにマイニングの権限が集中してしまうこと。権限が一極集中してしまうことは、不正の温床ともなり得ます。非中央集権であるブロックチェーンが、PoWという集権的になりやすい仕組みに依存して存続していることについて、さまざまな懸念が示されています。
Proof of Stake(プルーフオブステーク/PoS)
PoSは、その通貨の保有量や保有期間などをベースに有志を選抜する仕組みです。この仕組みでは、仕事量は一切考慮に入れません。
メリットはPoWのデメリットを解決している点。権限が一極集中することがないので、ブロックチェーンの非中央集権性を守れます。
しかし、PoSにもデメリットが存在します。それは通貨の保有量や保有期間に基づいて選抜する仕組みであるため、もともと資産が多かった人にマイニングの権限も与えられるという点です。結果として富のある場所に権限が与えられることになるので、貧富の差が拡大しやすい仕組みなのです。
また、保有者にとっては保有し続けることがメリットとなってしまうため、通貨の流動性が失われやすいという懸念もあります。本来通貨は流動性があってこそのもの。通貨の基本概念が揺らぐ可能性を孕んでいるのがPoSということになります。
Proof of Inportance(プルーフオブインポータンス/PoI)
PoIは、その通貨コミュニティにおける重要性に基づいて有志を選抜する仕組みです。具体的には通貨の保有量や取引量、取引金額などが指標となっていて、こちらも仕事量は考慮されていません。
PoIのメリットは、流動性が担保されている点です。PoSとは違い、ただ保有しているだけではマイナーとして選ばれないのがPoIの特徴。結果的にスコアを上げたい人も積極的に取引をしなければならないため、流動性が失われにくいのです。また、保有量だけが多い人に権限が集まることも少ないため、貧富の差が拡大しにくいメリットもあります。
その一方で、PoIはマイニングに参加するために必要な通貨の最低保有量が決められている場合があります。この点においては、保有量の少ない人を黙殺する仕組みとなっているため、結果として富裕層に権限が集中するという懸念も存在しています。
EOSのコンセンサスアルゴリズム、DPoSとは?
DPoSは正式名称を「Delegated Proof of Stake」と言います。正式名称からもわかるとおり、基本的な仕組みはPoSに似ており、通貨の保有量が有志の選抜に影響する仕組みです。しかし似て非なるものがDPoS。いったいPoSとはどの点が違うのでしょうか?
DPoSでは、通貨の保有量で有志を決定することはしません。通貨の保有量に応じて、有志を選抜する投票権のようなものが与えられます。この投票権によって投票をおこない、そこで選ばれた有志がマイニングする権利を得るのです。
DPoSのメリットは2点。
まずひとつ目に、取引の処理が速い点が挙げられます。理論上は、1秒に10万件ものトランザクション処理が可能だと言われており、これはVISAやMasterといったクレジットカードをも凌駕する速度。ビットコインはもちろん、それより速いとされるイーサリアムにおいても、DApps上でのトランザクション遅延問題を抱えています。それを解決している点は他のコンセンサスアルゴリズムにはない大きなメリットでしょう。
もうひとつのメリットは、より分散的な仕組みである点です。PoWやPoS、さらにはPoIでデメリットに挙げられているとおり、マイニングにおける一極集中はこれまで避けるのが難しい問題でした。しかしこの点をDPoSは解決しています。
もちろん投票権は通貨の保有量に基づいて与えられますが、直接保有量がマイニングの権利につながるわけではありません。これまでのコンセンサスアルゴリズムに比べて、より分散的な仕組みを採用しているのがDPoSであり、それこそがDPoSのメリットと言えるでしょう。
また、権利者の投票によってマイナーを決めることは、ある種自浄的な作用にもなり得ます。例えばEOSをたくさん持っている人で、EOSの価値が下がった方が嬉しいという人はあまりいないでしょう。DPoSによって自分たちの投票が一極集中しないようにすれば、自ずと通貨の透明性は増します。自身が多く保有する通貨の健全性を守るために、投票者が工夫してマイナーを選ぶことは十分に考えられるのではないでしょうか。
先にも述べたとおり、従来のコンセンサスアルゴリズムは一長一短でした。PoWのデメリットを見て誕生したPoSやPoIにおいても一切デメリットが存在しないものはなく、まだまだ改善の余地があるのがコンセンサスアルゴリズムの領域です。その点、DPoSは現状においてもっとも問題を解決しているコンセンサスアルゴリズムだと考えられており、そんなDPoSを採用していることがEOSが評価され続けている理由のひとつともなっています。仕組みを紐解いていけば、評価の理由が見えてきます。そのような視点から仮想通貨投資を考えてみるのも面白いのかもしれません。
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