中東情勢の緊迫化を受け、先々週の土曜日にビットコインは約106,000ドルから月曜には一時98,000ドルまで約8.5%下落しました。しかし、緊張緩和が伝わると力強く反発し、先週末には107,000ドル台を回復し、心理的な節目である100,000ドルを上回り記事執筆時現在は1 BTC = 107,600ドルとなっています。
ブラックロックが発表した過去の調査では、地政学的なイベントの後、ビットコインは過去の事例で60日間に平均37%という高いリターンを報告しており、今回もヘッジ資産としての回復力を示した形といえます。
ビットコインが回復する一方、いわゆる「アルトシーズン」の兆しは現状見えていません。ビットコインのドミナンス(市場支配率)は約65%と高水準を維持しています。
歴史的にアルトシーズンはビットコインの上昇後に資金がアルトコインへ流入することで発生しました。しかし、トークン数が過去3年で約10倍に急増して資金が分散している点に加え、過去の市場を牽引したICOやDeFiのような仮想通貨の文脈での革新的なテーマは現状不在であるといえます。
ミームコインやAIなどの一部のトレンドは過去の反復に留まっており、市場全体のコンセンサスを形成するほどの力に欠けています。
市場の背景にはマクロ経済の動向も大きく影響しています。トランプ大統領がジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長への批判を強める中、米国ドルインデックス(DXY)は3年ぶりの安値に下落しました。トランプ大統領はNATO首脳会議でパウエル議長の後任候補として「3、4人」を検討していると発言し、FRBの独立性への懸念が浮上しています。
これに対しパウエル議長は関税政策の影響を見極めるまで利下げに慎重な姿勢を維持すると証言しました。しかし、FRB内には早期利下げに前向きな声も聞かれます。こうした中、株式市場は堅調でS&P 500は史上最高値圏にあり、市場の不安心理を示すVIX指数も急落するなど全体としてリスクオンのムードが広がっているといえます。
FRBによる利下げの可能性と中東情勢の安定化が市場を支えていますがビットコインがマクロヘッジ資産としての地位を固めつつある一方でアルトコインが本格的なシーズンを迎えるには依然として明確な触媒が必要な状況と言えるでしょう。
記事ソース:Binance Research
The post アルトシーズンはくるのか|中東情勢の一件からBTC反発示すも appeared first on CRYPTO TIMES